まーけっと・餅・いなこん

京都アニメーションのオリジナル・アニメ『たまこまーけっと』のヒロイン・北白川たまこの家は「たまや」という屋号の餅屋。そのことを矜持としている彼女は、四六時中、新商品となる餅のアイディア作りに余念がない。「たまや」は京都・出町柳近くの枡形商店街のなかにあることになっている。
 
考えてみれば、大方の現代人にとって餅など飾るものか食べるものでしかなく、作るひとが多少あったとて、それ以上のことは慮外であろう。ところが調べてみると、うるち米ともち米の違いやら、粘った食感が案外限られた地域の嗜好だったり、煎餅になぜ「餅」の字がつくのかといったことなど、餅は餅なりに奥が深く、話題に事欠かない。こうしたことは法政大学出版局から出ている、渡部忠世・深沢小百合『もち(糯・餅)』に詳しい。
 
餅にはこんな伝説がある。古代の京都に秦伊侶具(はたのいろぐ)という裕福な豪族が暮らしていた。ある日、伊侶具は餅を的にして矢を射た。すると、その餅が白鳥に姿を変えて、山のほうへ飛んでいってしまった。その白鳥の降り立った場所にできたのが今の伏見稲荷大社だという。子孫たちは罰当たりなことをしたと反省して神社を祀ったというから、どうやら伊侶具は遊興のために食べ物を粗末にしたようだ。しかし柳田國男は本来神事だったものの意味が脱落し、不敬な行為として伝承されたのであろうと推理する。伏見稲荷大社主祭神のひとりは宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)である。そんなゲーム大好きウカさまと少女・伏見いなりの友情を描いたマンガによしだもろへいなり、こんこん、恋いろは。』がある。

 

もち(糯・餅) (ものと人間の文化史)

もち(糯・餅) (ものと人間の文化史)