北村薫・宮部みゆき編『とっておき名短編』ちくま文庫、2011年【11冊】

北村薫・宮部みゆき編『とっておき名短編』から11冊のご紹介です。本巻の目玉のひとつは、4「壹越」。作品が収録された『虹彩和音』は私家版、今どきの言葉で言えば自費出版であるため、一般に流通していないんですね。無論、Amazonでも扱っておりません。…

優現書房セレクト「狼男の集い」2021年【18冊】

このたびは物語のなかの狼男から、狼男とは何かというその正体に迫る人文書まで18冊をご紹介します。 藤子不二雄A『怪物くん』でもおなじみの3大モンスターといえば、フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男。このうち、フランケンシュタインはメアリー・…

金原瑞人編「Fat but/and Fun」BOOKMARK、19号、2021年【17冊】

フリーペーパー「BOOKMARK」から16冊のご紹介です。このたびこちらのフリーペーパーの存在に初めて気づき(不勉強でお恥ずかしい)パラパラと読んでみたところ、レコメンドされている本たちの非常に魅力的なこと。編集は英文学者の金原瑞人先生。『文学効能…

discovery「永遠のその先へあなたをいざなうベストSF100+」2021年【100冊】

discovery「永遠のその先へあなたをいざなうベストSF100+」、タイトルでは「100+(100冊以上)」となっていますが、元記事に番号の重複や欠番があるため、ちょうど100冊の紹介になります。わたしごときが講釈できることではないのですが、SFは詳しいひとた…

北村薫・宮部みゆき編『名短篇、さらにあり』ちくま文庫、2008年【12冊】

北村薫・宮部みゆき編『名短篇、さらにあり』から12冊のご紹介です。巻末に一応出典の情報は載っているのですが、それでも原書を見つけにくく、なかなか難儀しました。それだけ、これらの作品たちは、目下流通している本のなかから適当にチョイスしたもので…

森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』幻冬舎、2003年【32冊】

KEYBOOK、森川嘉一郎『趣都の誕生』の参考文献から32冊のご紹介です。わたしたちがオタクとは何かを語ろうとするとき、マンガやアニメやゲームといったソフト、あるいはそれと戯れるオタクの振る舞いに飛びつきがちですが、それを都市論という切り口から解き…

北村薫・宮部みゆき編『名短篇、ここにあり』ちくま文庫、2008年【12冊】

北村薫・宮部みゆき編『名短篇、ここにあり』から12冊のご紹介です。5「少女架刑」や10「誤訳」などは現在もほかの本をあたることができますが、2「夜のぬいぐるみ」や4「隠し芸の男」はもはやこちらを頼る以外に方途がないように思われます。ブックオフ…

優現書房セレクト「虹の書棚」2021年【24冊】

色別に硬軟織り交ぜて24冊のご紹介です。インディペンデントの書店さんでこの手の企画棚を見かけますが、思いも寄らぬ本同士が肩を並べるさまに新しい興味を掻き立てられることひとしきり。バリエーションを幅広く取り揃えました。ここから新たな読書分野を…

日本出版販売「年間ベストセラー」2021年【10冊】

今日から12月になり、こういう記事が出てくるようになりました。日本出版販売、いわゆる日販が取次高から弾き出した2021年度年間ベストセラー10冊。インテリぶる気も、皮肉のつもりもありませんが、ここに並んだ10冊のうち1冊も目を通していません。対人関…

優現書房セレクト「ちくま文庫、名短篇の森」2021年【8冊】

先にお断りしておきます、このたびはわたしの備忘録です。適当に買い散らしていると、とくにシリーズ物は買い漏れが起きるうえに、さらには「購入/未購入」の区別がつかなくなってしまいます。やはり1巻から順に買い求めていくのが王道であり、正攻法です…

ジョン・ランディス編『怖い家』エクスナレッジ、2021年【14冊】

KEYBOOK『怖い家』から14冊のご紹介です。日米のお化け屋敷を比較してみると、面白いことが分かります。かつての日本のお祭りには頻繁にお化け屋敷の小屋が掛かりましたが、あれは怪談話のワンシーンを見て回るもの。言うなれば、ウィンドウ・ショッピングと…

リーダーズ・ダイジェスト「史上最恐のホラーブック50選」2021年

アメリカの総合雑誌「リーダーズ・ダイジェスト」が選ぶ2021年度最恐ホラー50選です。こうしたリストを紹介しているうちに、常連というか、スタメンというか、不動の人気を誇る作品がどれなのかもだんだん見えてくるようになりました。31『リング』は、ナオ…

東雅夫編『鬼 文豪怪談ライバルズ!』ちくま文庫、2021年【13冊】

KEYBOOK『鬼 文豪怪談ライバルズ!』の底本から14冊のご紹介です。前巻『刀』と較べてもまったく遜色のない、泉鏡花に始まり手塚治虫に終わるバリエーションの多彩さ。継投する顔ぶれも高田衛に京極夏彦に北村透谷といった目白押し感。本読みの悩みのひとつ…

東雅夫編『刀 文豪怪談ライバルズ!』ちくま文庫、2021年【14冊】

KEYBOOK『刀 文豪怪談ライバルズ!』の底本から14冊のご紹介です。最近だとゲームやアニメでおなじみの『Fate』シリーズにさまざまな宝具が登場しますが、武器というのは単なる道具ではないんですよね。そこにはひとの想いや悪意が込められている。『新世紀…

藤井司『死体入門』メディアファクトリー新書、2011年【30冊】

KEYBOOK『死体入門』の参考文献から30冊のご紹介です。のっけから手前味噌で恐縮ですが、よそではなかなか見かけることのないこのたびのラインナップだと思います。参考文献のネットワークをたどりながら、1冊でも多く未知の書籍にスポットライトをあてたい…

FLAVORWIRE「陰鬱な冬にこそ読むダークな50冊」2014年

FLAVORWIREによる冬に読みたいセレクション50冊です。ここに集められた作品はかならずしもホラーばかりでもありませんね。もう少しひとのこころの暗部、狂気や邪悪、孤独に踏み込んだ作品の数々。6『ベル・ジャー』、著者の死の直前に刊行された自伝小説で…

春日太一『市川崑と『犬神家の一族』』新潮新書、2015年【10冊】

KEYBOOKの参考文献から7冊、プラスおまけの3冊です。市川崑監督の作品を新旧つまみ食いしてきて、なぜこんなにも当たり外れのブレが大きいのだろうか、と長らく疑問を抱いていました。本書を読んでやっと真相が分かりました。奥さま・和田夏十さんの存在な…

優現書房セレクト「小説家になって億を稼ごう」2021年【40冊】

今や、小説を書くことは特殊な趣味ではなくなりました。書くためのツールや発表するための場が揃い、おそらく一部のジャンルにおいては商業化のハードルだって従来よりもぐっと引き下がっているはず。それにも拘らず、作家志望者の悩みだけは旧態依然のまま…

柴宜弘『ユーゴスラヴィア現代史』岩波新書、1996年【43冊】

先日、倫理学者の先崎彰容さんが多様性についてテレビで語っていました。多種多様な人種の坩堝であるアメリカだからこそ多様性による統一を唱導する意味がある。姿かたちが均質な日本で同じことをすれば、わざわざマイノリティを掘り返すことで国家が分裂す…

北村紗衣「『批評の教室』刊行記念 北村紗衣さん選書フェア 批評を楽しむためのフェア」2021年【36冊】

ブログやSNSを用いて本の感想を取り交わすことが当たり前になりました。でもそうなると、「すごい!」「おもしろい!」「泣いた!」といった感想文では少々物足りなくなってくる。たまには、ひとを唸らせるもの、感心させるものも書いてみたい。しかし、いざ…

文春文庫「心をつなぐ、本がつなぐ。」2021年【20冊+おまけ20冊】

瀬尾まいこ原作、映画『そして、バトンは渡された』とのタイアップ企画「心をつなぐ、本がつなぐ。」、文春文庫による40冊のセレクションです。2『絶望スクール』、わたし日本語学校の裏を少しだけ知っており、技能実習制度は政官財の典型的な癒着だと思っ…

岩波書店他「書物復権 11出版社共同復刊25」2021年【43冊】

復刊ドットコム上で行われたリクエストに基づく、11出版社による復刊43冊です。小説やエッセイなどは、フェアも頻繁に行われていますし、ネット上の口コミから人気のバロメーターが把握しやすい。それに対して教養書は、読むひとがどうしても限られてくるの…

島田裕巳『神道はなぜ教えがないのか』ベスト新書、2013年【10冊】

神道とは、どのような宗教であるかを解説したキーブック。ざっくりとした説明になりますが、「ない宗教」としての神道、「ある宗教」としての外来宗教という区分けが両者には存在するといいます。そしてまた、この違いこそが神道を神道たらしめている最大の…

優現書房セレクト「新選組、まかり通る」2021年【18冊】

ピカレスク小説やロマン・ノワールに一定のニーズがあるように、わたしたちは必ずしも悪を憎んでばかりでもいませんね。最近だと佐藤究『テスカトリポカ』の小説賞受賞とそれに引き続く大ヒットがありました。新選組も有り体に言えば暗殺集団ですが、彼らの…

オーガスト・ダーレス他『恐怖通信Ⅱ』河出文庫、1985年【6冊】

収録された10編中、ほかの書籍に収録されている作品は6つ。1「猫の王さま」、このDHCはサプリメントのDHCで間違いないようです。これは意外な事実でした。さまざまな文献を調べていると、こういう面白い情報にも巡り会えます。3「手押し車になった少年」…

斎藤哲也編「あの人も読んでいる 研究者の口コミフェア」NHK出版新書、2021年【20冊】

NHK出版がプッシュする新書20冊です。2、9がAIをテーマにした著作ですね。同じトピックを扱う本に関してわたしが常々腑に落ちないのは、AIが脅威だというのなら、脅威にならないように使えばいいだけではないか、という点です。勿論、一部の企業や国家…

オーガスト・ダーレス他『恐怖通信』河出文庫、1985年【5冊】

収録された12編中、ほかの書籍に収録されている作品は5つにとどまりました。1冊の本から好奇心のネットワークを広げようという当コンテンツの試みですが、本書についてはご容赦ください。1「幽霊」、愛する男に殺害され、幽霊になった女の顛末とは。オー…

矢野浩三郎編訳「恐怖と怪奇名作集」シリーズ、岩崎書店【30冊】

ジュブナイル(子供向け)に分類されるレーベルですが、本文はすべて大人向けのものと同じです。子供向けに表現を抑制したり、省略したりというようなことはありません。いち作家いち作品という縛りになっていますが、このシリーズ、本当に作品のセレクトが…

キクタヒロシ『昭和のヤバい漫画 知られざる貸本マンガのDEEPな世界』彩図社、2016年【10冊】

まんだらけに行くと貸本漫画の復刻版が店頭に並んでいますが、なかなか現物を手に取るところまでいきません。良く言えば、荒削り。悪く言えば、作品の域に達してない。そんな印象をもってしまうからです。でも、怖いもの見たさはある。そこで貸本マンガを概…

FLAVORWIRE「頭の芯が凍る恐怖小説ベスト50」2013年

オンラインカルチャーマガジン「FLAVORWIRE」が選んだ恐怖小説ベスト50……なのですが、48『ホット・ゾーン』はノンフィクションですね。看板に偽りあり、で申し訳ありません(苦笑)日本からは2『ピアッシング』が入っているのがちょっと誇らしい。村上龍さ…