亜紀書房・晶文社「亜紀書房 VS 晶文社 共同フェア From 神保町  並べて考える。このテーマ、この著作」2021年【20冊】(前編)

神田神保町に本社を構える亜紀書房晶文社による東西対決。それなりの本読みでもない限り、両社の出版物を意識して手に取るひとは少ないと思うんですよね(ディスっているわけではありませんw)。だからこそ、両社のオススメ本がいちどきに眺められるこのフェアは、新しい本を開拓したいひとにとっては新鮮なラインナップになるのではないでしょうか。全60冊のうちまず20冊を前編としてご紹介します。ちなみにわたしは、亜紀書房なら『江戸の縁起物 浅草仲見世助六物語』が、晶文社なら『雑読系キーブックです)』がお気に入りです。

 

1.日米殺人ノンフィクション

黄金州の殺人鬼――凶悪犯を追いつめた執念の捜査録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII-9)

ミシェル・マクナマラ黄金州の殺人鬼亜紀書房

1970-80年代のアメリカ・カリフォルニア州を震撼させた「黄金州の殺人鬼」による未解決の連続殺人・強姦事件。闇に消えた犯人を追い、独自に調査を行った作家による手に汗握る渾身の捜査録。

つけびの村

高橋ユキつけびの村晶文社

つけびして 煙り喜ぶ 田舎者
2103年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害された。犯人の家に貼られた川柳は〈戦慄の犯行予告〉として世間を騒がせたが……。

 

2.呑兵衛 VS 食いしんぼ

70歳、これからは湯豆腐——私の方丈記

太田和彦70歳、これからは湯豆腐 私の方丈記亜紀書房

外に出て四季をめでる。本屋と酒場をはしごする。自分だけの場所を探して。もうひとりでいい。夜一杯飲めればじゅうぶん。これは楽だ。豊かな「ひとり時間」の過ごし方。

餃子のおんがえし

しろまるいずみ『餃子のおんがえし晶文社

根っからの食いしん坊で元居酒屋店主の著者が今まで出会ったごはんにまつわるウソみたいなホントの話。超遅咲きの食エッセイスト、登場。

 

3.絵も文章も個性派です

五十八歳、山の家で猫と暮らす

平野恵理子『五十八歳、山の家で猫と暮らす亜紀書房

母を亡くし、一時避難のつもりで八ヶ岳の麓の家に暮らし始めた。暮らしの不便を乗り越え、山の家での暮らしを作っていく。ひとりで暮らす深い豊かさを綴るエッセイ。

ざらざらをさわる

三好愛『ざらざらをさわる晶文社

独自の世界観で人気を集め、数多くの装画やグッズデザインなどを手掛けるイラストレーター、三好愛による初のイラスト & エッセイ集。

 

4.在日韓国人三世が見た日本

さよなら、男社会

雄大さよなら、男社会亜紀書房

圧倒的な非対称を生きる僕らは、どうしてその事実に気づけないのか。真に女性と、他者とつながるために、乗り越えねばならない「男性性」の正体とは?

異聞風土記 1975-2017

雄大異聞風土記 1975-2017晶文社

流転の日々をその土地と人々の記憶から紡ぎ出す──。神戸・京都・大阪、東京を経由して、福岡、鹿児島、そして宮古島へ。「私の物語」から明らかになる、極私的日本史。

 

5.出口の見えない今を生きる

コロナ禍をどう読むか——16の知性による8つの対話

奥野克巳ほか編『コロナ禍をどう読むか亜紀書房

ウイルスは「敵」なのか? 人類学、哲学、批評、アート、小説、精神分析、ビッグヒストリー、妖怪、科学史……。ジャンルを異にする俊英たちが、コロナ禍が露わにした二元論の陥穽をすり抜け、「あいだ」に息づく世界の実相を探る。

ポストコロナ期を生きるきみたちへ (犀の教室)

内田樹編『ポストコロナ期を生きるきみたちへ晶文社

私たちは今、この矛盾に満ちた世界をどうするかの分岐点にいる。この「歴史的転換点」以後を生きる中高生たちに向けて、5つの世代20名の識者が伝える「生き延びるための知恵」の数々。知的刺激と希望に満ちたメッセージ集。

 

6.日本の成り立ちを深く考える

ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと

奥野克巳『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと亜紀書房

独特の世界観を持つボルネオ島の狩猟採集民「プナン」と一緒に長く生活をともにした人類学者が、人間にとっての豊かさ、自由、幸せとは何かを根っこから問い直す。

むずかしい天皇制

大澤真幸・木村草太『むずかしい天皇制晶文社

オリンピックの開会式でも注目された天皇陛下の開会の辞。天皇制の過去、現在を論じることを通じて、日本人とは何か、日本社会の特徴はどこにあるのかを探求する刺激的対談。

 

7.日本を出た人と日本に来た人

越えていく人——南米、日系の若者たちをたずねて

仲里雄大越えていく人亜紀書房

日系移民の子孫たちの言葉から浮かび上がる、もう一つの日本近代史。かつて多くの日本人が南米へ渡った。その子孫にあたる若者たちの話を聞きたくて、彼らをたずねる旅が始まった。

日本の異国: 在日外国人の知られざる日常

室橋裕和『日本の異国晶文社

竹ノ塚リトル・マニラ、ヤシオスタン、大和市いちょう団地、茗荷谷シーク寺院、東京ジャーミィ、西川口中国人コミュニティ他、いつのまにか出来上がってきた異国人コミュニティをルポする。

 

8.知っておきたい脳と身体

意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

ジュリオ・トノーニほか『意識はいつ生まれるのか亜紀書房

なぜ脳だけが、物を感じ、夢を見、愛情や希望といった感情を持つのだろう。意識はなぜ発生したのか、その謎をめぐり、専門知識を抜きに読み進められる一冊。

こわいもの知らずの病理学講義

仲野徹『こわいもの知らずの病理学講義晶文社

大阪大学の名物授業を書籍化。おもしろ病理学抗議、しょもない雑談をかましながら病気のしくみを笑いとともに解説する、知的エンターテイメント。

 

9.日本の食はこんな道を辿ってきた

日本外食全史

阿古真理『日本外食全史亜紀書房

料理マンガのバイブル『包丁人味平』が登場したり、居酒屋チェーンの先駆者はどこかといったウンチクをはじめ、カレー、ラーメン、中国料理などの外食のすべてを知ることができる文化史です。

7袋のポテトチップス

湯澤規子『7袋のポテトチップス晶文社

戦後史を「胃袋」から見ると、どのように見えるのだろうか。戦前・戦中・戦後を通して語り継がれた食と生活から見えてくる激動の時代とは。歴史学・地理学・社会学文化人類学を横断しつつ、問いかける「胃袋の現代」論。

 

10.その発想は無かった。唯一無二のエッセイ

ニューヨークで考え中

近藤聡乃ニューヨークで考え中亜紀書房

2008年秋に単身ニューヨークへわたって海外一人暮らしが始まり、アメリカ人の恋人との出会いと結婚──。等身大のニューヨーク・ライフを綴ったコミックエッセイの第1巻。現在は3巻まで発売中。

どすこいな日々

関取花どすこいな日々晶文社

シンガーソングライター関取花(本名です!)初エッセイ集! 幼少期のエピソードから大好きな本について、音楽を生み出す際の苦労などのよもやま話を、時に抱腹絶倒、時に哀愁漂わせ、喜怒哀楽たっぷりの文章でつづる。