亜紀書房・晶文社「亜紀書房 VS 晶文社 共同フェア From 神保町  並べて考える。このテーマ、この著作」2021年【20冊】(中編)

昨日に引き続き、中編の20冊です。11「ヒトラー」、ヒトラーが政権の座に就くことをだれよりも切望したのはドイツ国民でした。わたしたちは軍人や政治家にだけ戦争の責任を押しつけていませんか。16「災害ユートピア」、災害を前に団結し高揚する人びと、スタッズ・ターケルよい戦争』のタイトルもそうした意味ですね。戦争を良い時代だったと感じるひともいます。18「語り芸」、義太夫浪曲だと古臭いと感じてしまうかも知れませんが、ラップやゲーム実況だって立派な語り芸。語り芸は、わたしたちの身の回りに生きています。

 

11.全体主義にどう抗うか

ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか——民主主義が死ぬ日 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII-13)

ベンジャミン・カーター・ヘット『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか亜紀書房

ロシア革命などによる東方からの難民、共産主義への保守層の拒否感、社会の激しい分断、正規軍と準軍事組織の割拠、世界恐慌……。ヒトラーがドイツを掌握するまでを、アメリカを代表する研究者が描く。現代は1930年代の再来?

学問の自由が危ない──日本学術会議問題の深層

 佐藤学上野千鶴子内田樹編『学問の自由が危ない晶文社

菅首相による日本学術会議会員への任命拒否問題。うやむやにされていないか? 政権に都合の悪い意見を言う学識者を排除したのは誰の目にも明らか。これはもはや、学問の自由のみならず、民主主義の危機。もういちどこの問題に向き合おう。

 

12.ブームで終わらせたくない韓国文学

フィフティ・ピープル となりの国のものがたり

チョン・セラン『フィフティ・ピープル亜紀書房

50人の登場人物が、あやとりのように少しずつ絡まり合って織りなす、人生のドラマ。登場人物の一人ひとりがいとおしく、まるで自分の友人や知人、家族のだれかのように思えて、何度でも読み返したくなります。

走れ、オヤジ殿 (韓国文学のオクリモノ)

キム・エラン『走れ、オヤジ殿晶文社

若くして国内の名だたる文学賞を軒並み受賞しているキム・エラン。韓国日報文学賞を歴代最年少で受賞した表題作や、第1回大山大学文学賞を受賞した「ノックしない家」など9編を収載したデビュー中短編集。

 

13.日本のもやもやにもの申す

日本語を、取り戻す。

 小田嶋隆日本語を、取り戻す。亜紀書房

森友・加計、検事長の定年延長をめぐる数々のデタラメ、新型コロナウイルスをめぐるアレコレ、機能不全に陥っているメディア……。至高のコラムニストが、舌鋒鋭く、ユーモラスいっぱいに斬り捨てる!

日本の気配

 武田砂鉄『日本の気配晶文社

「空気」が支配する国だった日本の病状がさらに進み、いまや誰もが「気配」を察知することで自縛・自爆する時代に? 1億総忖度社会の日本を覆う「気配」の危うさを、さまざまな政治状況、社会的事件、流行現象からあぶり出す。

 

14.日本をなんとかしたいあなたに

日本が壊れる前に——「貧困」の現場から見えるネオリベの構造

中村淳彦・藤井達夫『日本が壊れる前に亜紀書房

学費のため風俗に走る女子大生、貧困地域で蔓延する主婦の売春、低賃金で部品のように働かされる介護現場。国が決めたマクロな政策はときに末端の人々を壮絶な現実に陥れる。衰退途上国・日本の現状を徹底討論した平成30年史。

99%のためのマルクス入門 (犀の教室)

田上孝一99%のためのマルクス入門晶文社

資本論』ブームにはわけがある。1対99の格差、ワーキングプア、ブルシット・ジョブ、地球環境破壊……現代社会が直面する難問に対する答えは、マルクスの著書のなかにすでにそのヒントが埋め込まれているのだ。

 

15.普通の読書論に飽き足らない人に

本を読めなくなった人のための読書論

若松英輔本を読めなくなった人のための読書論亜紀書房

読めないときは、無理をして読まなくていい。読めない本にも意味があるから、積読でもいい。本読みの達人が案内する読書の方法。本と「たしかに」出会う体験をどうぞ。

本を気持ちよく読めるからだになるための本 (ハリとお灸の「東洋医学」ショートショート)

松波太郎本を気持ちよく読めるからだになるための本晶文社

芥川賞候補作家兼鍼灸治療院院長。筆者の治療院には映画監督・作家、芸人、アーティストなど様々な患者さんが訪れる。

 

16.災害時には何が起こるのか

定本 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか 亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ

レベッカ・ソルニット『定本 災害ユートピア亜紀書房

災害時になぜ人々は無償の行為を行うのか? なぜエリートはパニックを起こし、人びとは自発的な秩序をつくり上げるのか? 危機の最中に現れる人々の自発的な相互扶助のメカニズムを追ったノンフィクション。

感染列島強靭化論: パンデミック下での大災害に備える公衆衛生戦略

藤井聡・高野裕久『感染列島強靭化論晶文社

長引くコロナ禍では必ずと言っていいほど大雨、土砂崩れ、地震など他の災害が複合的に発生する。公共政策の専門家と環境医学の専門家の二人が、公衆免疫に関わる様々な環境的要因を強靭化するために提言する。

 

17.日本経済を再生するために

そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

ブレイディみかこ松尾匡北田暁大そろそろ左派は〈経済〉を語ろう亜紀書房

日本のリベラル・左派の躓きの石は、「経済」という下部構造の忘却にあった。アイデンティティ政治を超えて、「経済にデモクラシーを」求めよう。左派の再優先課題は「経済」なのです。

MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣理論の真実

藤井聡MMTによる令和「新」経済論晶文社

MMTは禁じ手ではない! 財政赤字でOK。消費税は減税! 経済学の常識を覆す主張で、いま世界で大論争を巻き起こしている「現代貨幣理論」(MMT)。前の問題点を知り尽くした著者が描く日本経済再生のシナリオ。

 

18.日本の古典芸能、能楽師浪曲

見えないものを探す旅——旅と能と古典

安田登『見えないものを探す旅亜紀書房

世界各地へ出かけ、また夏目漱石三島由紀夫松尾芭蕉など文学の世界を逍遥し死者と生者が交わる地平、場所に隠された意味を探し求める。能楽師・安田登が時空を超える精神の旅へといざないます。

語り芸パースペクティブ: かたる・はなす・よむ・うなる

玉川奈々福語り芸パースペクティブ晶文社

節談説教、ごぜ唄、説経祭文から義太夫、講談、能、落語、浪曲など日本の語り芸の世界を今に伝えたい。小沢昭一さんの仕事を継ぎ、自らも浪曲師の世界に飛び込んだ著者の労作。

 

19.抽象と具象の究極論

抽象の力 (近代芸術の解析)

岡崎乾二郎抽象の力亜紀書房

20世紀美術を動かした真の芸術家たちは誰か。近代から現代にいたる芸術の道行きのなかに「抽象芸術」の可能性を見出す。美術のみならず、デザインや建築を学ぶ人にも大きな刺激を与える一冊。第69回芸術選奨文部科学大臣賞(評論部門)受賞。

生きのびるためのデザイン

ヴィクター・パパネック『生きのびるためのデザイン晶文社

デザインを、安易な消費者神話の上にあぐらをかいた専門家たちの手にまかせきってはならない。世界的反響を呼んだ「パパネック理論」の完訳本、デザイナーのみならず、すべての生活人必読の名著。

 

20.ジャズの名手は文章もジャズだった

レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集

菊地成孔レクイエムの名手亜紀書房

「愛というのは、何やらステキで温かい事ではない。自分の命への妄執をチャラにするという事です」(本文より)。菊地成孔が今世紀のはじまりの十数年間に綴った、珠玉の追悼文の数々を集成。

ドファララ門

山下洋輔ドファララ門晶文社

自らの音楽的ルーツを求めて時空間を駆け巡る。明治・大正・昭和・平成の世をまたぎ、国境も越えて追いかける。ヤマシタ流抱腹絶倒ジャズ自叙伝。

 

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