島田裕巳『神道はなぜ教えがないのか』ベスト新書、2013年【10冊】

神道とは、どのような宗教であるかを解説したキーブック。ざっくりとした説明になりますが、「ない宗教」としての神道、「ある宗教」としての外来宗教という区分けが両者には存在するといいます。そしてまた、この違いこそが神道神道たらしめている最大の原因でもあるのです。日本人はなぜ宗教に関して、良く言えば柔軟、悪く言えば節操がないのか、本書を読んだひとはそんな日本人の習性に思いが至るでしょう。ディープな本読みのかたならば、ロラン・バルト表徴の帝国』における「空虚な中心」を思い出すかも知れません。文中で参照されている文献10冊をご紹介します。

 

神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)

KEYBOOK

島田裕巳神道はなぜ教えがないのか』ベスト新書、2013年

神道には、開祖も、教義も、救済もない。私たちはいつの間にか神道の信者になっている。古代から守り続けられてきた日本固有の宗教の本質とは何か。

 

日本神道史(増補新版)

1.岡田荘司他編『日本神道史吉川弘文館、2021年

古来、神は日本人の精神的より所としてあらゆる場所に存在し、国家成立に大きな位置を占めるようになった。天皇祭祀、神信仰のあり方など基本事項を詳細に描き、現代神社の信仰分布を解明する。初版刊行から10年、沖ノ島律令国家祭祀に新たな知見を加えるなど、記述を全面的に見直しよりわかりやすく編集。今も生活に息づく神道の世界へ誘う。

世界石巡礼

2.須田郡司『世界石巡礼日本経済新聞出版、2011年

石巡礼は日本から世界へ。2009年4月からの1年間にわたる40カ国の旅で出会った、巨石・巨岩・石遺跡の写真を、石をめぐるストーリーとともに綴る。地球の記憶を探す旅。

日本石巡礼

3.須田郡司『日本石巡礼日本経済新聞出版、2008年

巨石・奇岩・怪石、大切に祀られてきた石、物語のある石―。世界中の石に魅せられ、石を撮り続ける須田郡司による石の旅三年間の記録。

見世物の人類学

4.山口昌男編『見世物の人類学三省堂、1983年

 

益田勝実の仕事〈4〉秘儀の島・神の日本的性格・古代人の心情ほか (ちくま学芸文庫)

5.益田勝実『益田勝実の仕事4 秘儀の島ほかちくま学芸文庫、2006年

神祀りの時間と空間とはいかなるものか?『火山列島の思想』(1968年)以来思考し続けてきた「神話的想像力」という主題を、より主体の側の問題として焦点化しつつ、歴史残留そのものとしての自己の内部からテキストを読み解く。祭祀と神話の内部構造を考古学的事実と重ね合わせながら、画期的な視点を提示した『秘儀の島』(1976年)、および神話論考「神の日本的性格」「古代人の心情」「神話の生態」などから編む。

忠誠と反逆―転形期日本の精神史的位相 (ちくま学芸文庫)

6.丸山眞男忠誠と反逆ちくま学芸文庫、1998年

開国の時期における、自我の原則と所属する集団・制度への忠誠との相剋を描き、忠誠と反逆という概念を思想史的に位置づけた表題作のほか、幕藩体制の解体期から明治国家の完成に至る時代を対象とした思想史論を集大成。『古事記伝』のなかに、近代にいたる歴史意識の展開を探る「歴史意識の『古層』」を付す。

神も仏も大好きな日本人 (ちくま新書)

7.島田裕巳神も仏も大好きな日本人ちくま新書、2011年

阿修羅像は、なぜ博物館にあったのか?伊勢神宮に、仏教の儀式を行う場所があった?天皇家は、代々仏教を信じていた?…近代以前には、日本人の生活に溶け込み、密接に結びついていた神道と仏教は、「神仏分離」により無理やり引きはがされてしまった。このことは、どんなダメージをもたらし、日本人の信仰にどんな影響を与えたのか。仏教や曼荼羅、神社、寺の姿を丹念に見ることで、その実態を解き明かしていく。

古事記伝 1 (岩波文庫 黄 219-6)

8.本居宣長古事記伝岩波文庫、1940年

本居宣長による「古事記」の注釈書。1798年完成。全44巻のうち、生前に刊行されたのは17巻まで。 巻一「直毘霊」(ナホビノミタマ)を含む総論。巻二、序文の注釈や神統譜。巻三以降が「古事記」本文への注釈。 岩波文庫の「古事記伝 1」は、巻一、巻二と、巻三以降の「古事記」序文、本文の冒頭より、巻五の神代3、いわゆる黄泉の国の話の冒頭のうちの、殺されたカグツチから産まれた神々の名、カグツチを斬った剣の名までを収録。

霊の真柱 (岩波文庫)

9.平田篤胤霊の真柱岩波文庫、1998年

古学の徒は大倭心を堅固にもつことが肝要であり、そのためには「霊の行方の安定」を知る必要がある。そこで、宇宙の開闢から天・地・泉の生成とその形象を、十箇の図と古伝により説明し、その過程を貫いている神々の功業を明らかにして、霊魂の行方を論じた書。篤胤の幽冥観を確立し、国学宇宙論に新たな展開をもたらした重要著作。

夜明け前 (第1部 上) (新潮文庫)

10.島崎藤村夜明け前新潮文庫、2003年

木曽馬籠の里を舞台に明治維新の或る側面を描いた歴史小説である.主人公青山半蔵は,代々本陣・庄屋・問屋の三役を兼ねる旧家の跡継ぎ息子.山深い木曽路にも黒船来航の噂が伝わり,旅人の気配ただならぬ頃から物語は始まる.藤村は,維新の下積みとなって働いた人々を描くことを意図してこの大作を書いた。