藤井司『死体入門』メディアファクトリー新書、2011年【30冊】

KEYBOOK『死体入門』の参考文献から30冊のご紹介です。のっけから手前味噌で恐縮ですが、よそではなかなか見かけることのないこのたびのラインナップだと思います。参考文献のネットワークをたどりながら、1冊でも多く未知の書籍にスポットライトをあてたい。そんな心意気でこちらのブログを書いているといっても過言ではありません。8『標準法医学・医事法』や27『標準病理学』なんてだれが買うというのでしょうか。いえ、このブログを読んでくれたどこかのだれかさんがたったひとりでも買ってくれたら、書店冥利に尽きるというもの。18『ポオ』、本巻に収録されている作品では「ヴァルドマアル氏の病症の真相」が気味悪く、個人的に好みです。19『日本ミイラの研究』、編者は「日本ミイラ研究グループ」、こんな団体が存在するんですね。世の中、多種多様です。ひとの死にまつわる余談ですが、入浴中に心臓発作で死んでしまい、煮え立つお湯によってスープになってしまったひとの都市伝説がありますよね。あれ、都市伝説ではありません。なぜかって? わたし、実際にその写真を見たことがありますから(苦笑)

 

死体入門 (メディアファクトリー新書)

KEYBOOK

藤井司死体入門メディアファクトリー新書、2011年

死ぬ瞬間、何が起こるのか?人は死んだらどうなるのか?死への疑問は尽きず、それらを考えることは、命や人生を真摯に見つめることに他ならない。死と死体について、あらゆる角度から考察する衝撃の書。法医学者が、死の全体像について意欲的な考察を試みる。九相詩絵巻カラー掲載。

 

魂の重さの量り方

1.レン・フィッシャー『魂の重さの量り方』新潮社、2006年

ヒトの魂は30グラム!?20世紀初頭、アメリカの医師マクドゥーガルは瀕死の病人の体重を測定し、昇天の瞬間、わずかに人体が軽くなるのを確かめた。彼は自問する―私はいったい何の重さを量ったのだろうか?奇妙で奇怪な“科学的信念”の進化をたどる異色の科学史

2.比叡山専修院編『恵心僧都全集1巻 附録 二十五三昧根本結縁衆過去帳思文閣出版1984

日本浄土思想の根幹となり、日本文化史上多大の影響を遺した恵心僧都源信の全業績を基に、昭和2~3年に比叡山より刊行されたものの復刻である。天台宗・浄土宗各寺院はもとより、仏教学・歴史学・美術史学・国文学などの研究にとっても貴重な資料である。

源信 (日本の名著 (4))

3.川崎庸之編『日本の名著 (4) 源信中央公論新社、1983年

日中印(当時で言えば、(本)朝唐天(竺))のありとあらゆる原典から、地獄と極楽の有様の記述を拾い出し、つなぎ合わせて大パノラマにしたのが往生要集。ダンテが神曲を書いたときやゲーテファウストのストーリーを考えたときに種本にした、というのは嘘だけど、10世紀に書かれた本書の方が、ずっと古い。「よっ!家元!」米朝の「地獄八景亡者の戯れ」のたねにも、もちろんなってません。地獄の方だけが有名だけど、ちゃんと極楽もついています。だって極楽往生のマニュアルだったんですから(これはホント)。

改訂新版 脳死とは何か―基本的な理解を深めるために (ブルーバックス)

4.竹内一夫改訂新版 脳死とは何か講談社、2004年

何をもって人間の死を判断するか。医学の進歩は「脳死」という、生と死についての新しい概念をもたらした。わが国では臓器移植のドナーに限り、「脳死」を法的に人間の死として認めている。それでは「脳死」とは一体どういう状態をいうのか?「植物状態」とどう違うのか?脳神経外科の第一線で活躍してきた著者が、長年の研究と経験をもとに、わかりやすく解説する。

シャーロック・ホームズの恩人 (1974年)

5.長沼弘毅『シャーロック・ホームズの恩人家の光協会、1974年

緋色の研究 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫)

6.サー・アーサー・コナン・ドイル緋色の研究東京創元社、1960年

異国への従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトスン。下宿を探していたところ、同居人を探している男を紹介され、共同生活を送ることになった。下宿先はベイカー街221番地B、相手の名はシャーロック・ホームズ―。永遠の名コンビとなるふたりが初めて手がけるのは、アメリカ人旅行者の奇怪な殺人事件。その背後にひろがる、長く哀しい物語とは。ホームズ初登場の記念碑的長編。

四つの署名 (新潮文庫)

7.サー・アーサー・コナン・ドイル四つの署名』新潮社、1991年

ある日、ベーカー街を訪れた若く美しい婦人。父がインドの連隊から帰国したまま消息を断って十年になるが、この数年、きまった日に高価な真珠が送られてくるという……。ホームズ達が真珠の所有者を捜し当てた時、無限の富をもつこの男は殺され、そこには“四つの署名"が――インド王族秘蔵の宝石箱をめぐってテムズ河に繰り広げられる追跡劇! ホームズ物語の2作目にあたる長編。

標準法医学・医事法 (STANDARD TEXTBOOK)

8.石津日出雄・高津光洋編『標準法医学・医事法医学書院、2006年

法医学を学び始める医学生向け。特に、講義や国試レベルよりちょっとだけ突っ込んだ内容でやりたい、という方向けだと思います。

日本絵巻大成 7 餓鬼草紙,地獄草紙,病草紙,九相詩絵巻

9.小松茂美編『日本絵巻大成7 餓鬼草紙、地獄草紙、病草紙、九相詩絵巻中央公論新社、1977年

日本の名作絵巻がくりひろげる華やかな賑わいと宴のあとの哀歓を、完全な姿で世におくる、初の豪華全集。

死体につく虫が犯人を告げる

10.マディソン・リー・ゴフ『死体につく虫が犯人を告げる草思社、2002年

虫たちは決して殺人事件を見逃さない。驚くべき早さで死体を発見し、卵を産みつける。真の第一発見者である昆虫から手がかりを得るために、死体につく虫を丹念に集める昆虫学者がいる。彼らは現場から採集された標本を分析し、捜査官をも驚愕させる確度で死亡時刻を推定する。時には死後数年たった白骨死体であっても、昆虫の証拠から犯行の時期を推定できるのである。普通の昆虫学者だった著者が殺人現場へと乗り込み、「法医昆虫学」の第一人者となるまでに経験した数々の捜査を例に、このまったく新しい捜査法を紹介する。

日本古典文学大系 71 三教指帰/性霊集

11.空海三教指帰・性霊集 日本古典文学大系 71岩波書店、1965年

 

DNA人類進化学 (岩波科学ライブラリー (52))

12.宝来聰『岩波科学ライブラリー52 DNA人類進化学岩波書店、1997年

日本人はどこから来たのか? 現代人の起源は? DNA人類進化学という新分野を切り開いてきた著者が、興味深い成果の数々をわかりやすく説き明かしつつ、人類進化の歴史を新たな視点から考察する。

The Scientific Study of Mummies

13.A. C. Aufderheide『The Scientific Study of Mummies』Cambridge University Press、2003年

中尊寺と藤原四代―中尊寺学術調査報告 (1950年)

14.朝日新聞社編『中尊寺と藤原四代 中尊寺学術調査報告朝日新聞社、1950年

平泉中尊寺ユネスコ世界遺産となり、もうこの様な貴重な本・写真資料(藤原四代の御遺体学術調査写真・映像等)は出てこないでしょう。御遺体学術調査報告資料などは藤原三代の採寸・保存状況まで、細部にわたり報告記述され、まさに見ごたえあり中尊寺愛好家の私も関山中尊寺の見方が変わったような気が致します。

ミイラはなぜ魅力的か―最前線の研究者たちが明かす人間の本質

15.ヘザー・プリングル『ミイラはなぜ魅力的か早川書房、2002年

 砂漠の片隅で、人知れず開催される「ミイラ会議」なる国際会議があるという。著者のヘザー・プリングルは、この会議のうわさを偶然聞きつけ、出席した。そこに集まった専門家たちはみな個性的で、異常なまでにミイラ研究に情熱を傾けている。ミイラの保存・保護を主張する側と、知識追及のためにミイラの解体を正当化する側の闘いに戸惑いながらも、著者はミイラ研究の神秘に心ひかれていく。

5000年前の男―解明された凍結ミイラの謎

16.コンラート・シュピンドラー『5000年前の男文藝春秋、1998年

今ここに、5000年という悠久の時間を「体験」した人がいる。彼は紀元前3300年頃に生きた人だが、高山で死亡し、1991年にミイラとして発見された…。現代科学が解明した驚くべき新事実。甦る古代世界。

ミイラの謎 (「知の再発見」双書)

17.フランソワーズ・デュナン、ロジェ・リシタンベール『ミイラの謎創元社、1994年

ミイラはどのように作られたのか。古代エジプトの死生観とどのようなつながりがあったのか。信じがたいエピソードをちりばめながら、古代科学・宗教・盗掘史など多様な視点でミイラを解読していく。

ポオ小説全集 4 (創元推理文庫 522-4)

18.エドガー・アラン・ポーポオ小説全集4創元推理文庫、1974年

アメリカ最大の文豪であり、怪奇と幻想、狂気と理性の中に美を追求したポオ。彼は類なき短編の名手である。推理小説を創造し、怪奇小説・SF・ユーモア小説の分野にも幾多の傑作を残した彼の小説世界を全四巻に完全収録した待望の全集!

日本ミイラの研究

19.日本ミイラ研究グループ編『日本ミイラの研究 新装版平凡社、1969年

日本のミイラ研究の出発点となり、長年品切状態で稀覯となっていた名著を、四半世紀ぶりに新装復刊。新刊の『日本・中国ミイラ信仰の研究』と併せて、斯学研究の発展を期す。

世界犯罪百科全書

20.オリヴァー・サイリャックス『世界犯罪百科全書原書房、1996年

クライム・ファン必携本。ジェフリー・ダーマーは被害者の遺体をどのように処理したのか。マフィアの存在はいつ発覚したのか。砒素の使用法は? プロファイリングとは? 最新の事項を含む犯罪に関する全てがこの一冊に。

ミイラ事典 (「知」のビジュアル百科)

21.ジェームズ・パトナム『「知」のビジュアル百科 ミイラ事典あすなろ書房、2004年

ミイラにこめられた古代エジプト人の思いとその驚くべき技術を一挙公開!氷河や砂漠で生まれたミイラや、アンデスシチリアのミイラなど、世界のミイラも紹介。ミイラの神秘を解き明かす1冊。

甦る古代人―デンマークの湿地埋葬 (刀水歴史全書)

22.P・V・グロブ『甦る古代人 デンマークの湿地埋葬』刀水書房、2002年

50年前、デンマークの湿地帯で発見されたなまなましい遺体…!今にも甦りそうな古代人の遺体をめぐる“謎”を解明する北欧先史・古代史の基本図書。

Written in Bones: How Human Remains Unlock the Secrets of the Dead

23.P・G・Bahn『Written in Bones』Firefly Books Ltd., 2003年

お葬式をどうするか―日本人の宗教と習俗 (PHP新書)

24.ひろさちやお葬式をどうするか 日本人の宗教と習俗PHP研究所、2000年

釈迦もキリストも、葬儀に格別な意義を持たせてはならない、と戒めた。しかし、なぜ日本人は、お葬式に宗教的こだわりを持つようになったのか。戒名、末期の水、年忌法要、墓の問題…。本書では、習俗であるお葬式が、神道、仏教、儒教の影響を受け、いかに儀式化されてきたかを解説。特に、現代の「葬式仏教」は江戸時代以降の慣習であり、本来の仏教思想とは無縁であることを指摘。これからの葬儀がいかにあるべきかを問い直す。死を迎える側も、弔う側も、今から読んで考えたい「本当のお葬式の話」。

死体とご遺体 夫婦湯灌師と4000体の出会い (平凡社新書)

25.熊田紺也『死体とご遺体 夫婦湯灌師と4000体の出会い平凡社、2006年

湯潅とは、死体を洗い、化粧をほどこし、仏衣を着せて旅立ちのための“ご遺体”にする儀式のこと。かつてCM業界で活躍した著者は、バブル崩壊による倒産に見舞われ、紆余曲折のすえ、湯潅サービスの起業にたどりついた。以降十年、出会ったご遺体はかれこれ四千体―。死者を抱き、洗い続けること。そこからみえる、現代の死生の姿とは。

死体はみんな生きている

26.メアリー・ローチ『死体はみんな生きているNHK出版、2005年

死体はスーパーヒーローだ。火を恐れず、高いビルからの落下もいとわず、頭を取り外されても文句を言わない。同時に何か所にいることもできる。ただ灰になったり、土の中でじっと横たわったりする以外に、死体だからこそ成し遂げられるすばらしい業績があるのだ。自動車事故の実験台になる、美術展示品になる、植物に取り込まれる、などなど。死体が私たちのためにしてきた貢献と、将来私たちが死体となってできることについて、きわめて率直に述べた画期的な書。

標準病理学 第5版 (Standard Textbook)

27.秦順一、坂本穆彦編『標準病理学 第5版医学書院、2002年

注)最新は『第6版』です。

フルカラーで、圧倒的な情報量!貴重なマクロ画像を多数収載したほか、豊富なイラストと丁寧な解説で組織像の見方がわかる。X線像やCT像などの臨床画像を追加し、「臨床との関連」の記載を強化。病理のわかる臨床医を目指す医学生に最適の教科書。今版から各章冒頭に「構成マップ」が掲載され、重要事項のまとめが俯瞰できる。医師国家試験対策はもちろん、レポートなど日々の学習の強い味方となる。

骨と語る―法人類学者の捜査記録

28.ウィリアム・メイプルズ『骨と語る 法人類学者の捜査記録徳間書店、1995年

一片の人骨から性別・年齢はおろか殺人の手口までも解明する法人類学者。エレファントマンやニコライⅡ世の遺骨の謎や、奇妙で血も凍る殺人事件の真相を解く。白骨から明かされる意外な16の真実。

実録 死体農場 (小学館文庫)

29.ビル・バス、ジョン・ジェファーソン『実録 死体農場小学館、2005年

肉は朽ちる。だが骨は残る。パトリシア・コーンウェルのベストセラー小説「検屍官」シリーズ第五巻『死体農場』。そのモデルにもなった世界唯一の法医学研究施設“死体農場”では、提供された人間の死体をさまざまな条件のもとに“放置”して、腐敗の推移を日夜観察している。森の中に、車のトランクに、水中に、あるいは炎天下の地表に置かれた死体は、どれほどの時間をかけ、どのような過程を経て、朽ちていくのか。施設の長にしてアメリカの伝説的法人類学者であるビル・バスによって淡々と語られる人体腐敗プロセスは、小説以上に知的好奇心をそそる。

法医人類学の本5.白骨死体の鑑定 - 人類学のススメ 30.瀬田季茂・吉野峰生『白骨死体の鑑定』令文社、1994年