リーダーズ・ダイジェスト「史上最恐のホラーブック50選」2021年

アメリカの総合雑誌「リーダーズ・ダイジェスト」が選ぶ2021年度最恐ホラー50選です。こうしたリストを紹介しているうちに、常連というか、スタメンというか、不動の人気を誇る作品がどれなのかもだんだん見えてくるようになりました。31『リング』は、ナオミ・ワッツ主演の映画のおかげもあるわけですが、それにしたって日本から頻繁にランクインしてくれるのは誇らしいものです。余談ですが、台湾では『リング』のせいで従来の幽霊のイメージが貞子になってしまったという現象も起きていて、その感染力たるやグンバツと言えるでしょう。

リストの年代が新しいぶん日本語未訳の作品が多いですが、そうしたなかで興味をそそられるのは、14『Wonderland』や32『The Final Girl Support Group』、34『『The Sun Down Motel』などでしょうか。未来の読者がここにいますので、日本の翻訳家のみなさん、どうか翻訳をよろしくお願いします！　なお、このたびの本の紹介文は「リーダーズ・ダイジェスト」の英文を機械翻訳（＋若干の手直し）したものなので、意味がいびつなところはご容赦ください。

	１．スティーヴン・キング『呪われた町』1975年もし、あなたが手放すことのできない本を探しているなら、スティーブン・キングが書いた初期の作品を読んでみてください。これは彼の最初の吸血鬼の本であり、極上の恐怖です。
	２．Christopher Buehlman『Those Across the River』2011年 1935年、スキャンダルから逃れた教授が妻と共にジョージア州の実家に移り住みます。そこは彼の祖先が所有していたプランテーションの跡地の近くでした。毎月、町の人々は２匹の豚に花をつけて川を渡らせるという奇妙な生け贄の儀式を行っています。その豚は二度と戻ってきません。いったい何が彼らを食べているのか？　そして、町の人々が豚を送るのをやめたとき、何が起こるのか？　過去の罪の代償を描いた、超自然現象を取り入れたサザンゴシックです。さらなる恐怖を求めるなら、夜に読みたくないゴーストストーリーをお見逃しなく。
	３．トニ・モリスン『ビラヴド』1987年トニ・モリソンの最も影響力のある作品の一つである「最愛の人」は、南北戦争後のオハイオ州を舞台に、夫と子供を亡くした脱走奴隷のセテを描いています。夫と子供を亡くした脱走奴隷のセテは、脱走から数年経っても恐怖から解放されず、亡くした赤ん坊に悩まされていました。セテは非常に恐ろしい方法で自分の過去と向き合うことを余儀なくされます。
	４．ウィリアム・ピーター・ブラッティ『エクソシスト』1971年『エクソシスト』が史上最恐の映画のひとつになったのは、史上最恐の小説のひとつだったからです。まさに古典的な本から映画化された作品と言えるでしょう。
	５．スコット・スミス『ルインズ　廃墟の奥へ』2006年メキシコのジャングルを旅していた若者たちは、古代の遺跡と、古代の邪悪なものに遭遇します。ジョーズ』のようですが、植物です。植物の王国が恐怖の源になることはないと思っている人は、この本を読んでいないのではないでしょうか。
	６．L・Marie Wood『Crescendo』2003年ニューヨーク郊外で比較的普通の生活を送っていたジェームズ・アダムスは、一族の呪いに取り憑かれ、正気の概念を超えて、最大の恐怖をコントロールできない状態に陥ってしまう。悪魔が彼の中で立ち上がり、恐るべき真実を暴き、彼の運命を明らかにする。
	７．ニール・ゲイマン『コララインとボタンの魔女』2002年この本には、「あなたのもう一人のお母さん」という、おそらく最恐のアイデアが含まれています。子供向けの小説ではありますが、怖がりの子供にはよませないほうがいいでしょう、いえ、大人になってからのほうがいいかも知れません。ティーンエイジャーのかたもご注意を。
	８．Helen Oyeyemi『White is for Witching』2009年英国、４世代にわたってシルバー家の女性たちが暮らしている家があります。ミランダの母親が亡くなると、彼女はいくつかの奇妙な病気に苦しみ始め、友人を家に連れて帰ったあと、小さな町の敵意が家のなかにあらわれ、すべての人を永遠に変えます。女性作家の作品の中でも、ぜひ読んでおきたい一冊です。
	９．シャーリイ・ジャクスン『丘の屋敷』1959年映画化（そしてNetflixでシリーズ化）された最恐のホラー本をもうひとつご紹介しましょう。映画作品が好きなひとは、本がさらに優れていることを知って喜ぶでしょう（いつもそうですよね？）。
	10．スティーヴン・キング『IT』1986年スティーブン・キングがホラー本のトップリストに何度も登場しているのは、驚くべきことではありません。彼は何と言っても、恐怖の王様なのですから。この小説では、古くて新しい恐怖症をテーマにしています。ピエロです。メイン州デリーの下水道に住む殺人ピエロのペニーワイズは、町の若い住民を食い物にしています。
	11．レイ・ブラッドベリ『何かが道をやってくる』1962年２人の少年が旅先のカーニバルで、悪意を抱きながら、願いを叶えるダーク氏と出会う、というこの本の設定は、まさにレイ・ブラッドベリそのものです。彼の最も有名な作品ではないかもしれませんが、彼の最高傑作かもしれません。
	12．リチャード・プレストン『ホット・ゾーン』1994年このノンフィクションは、エボラウイルスがアメリカを破壊しそうになったという内容です。フィクションとしても面白いのですが、実際に起きそうになったことを知るとさらに怖くなります。COVID-19の時代に、これは確かにホラーに分類されます。
	13．ダン・シモンズ『殺戮のチェスゲーム』1989年ここでの悪役は、おなじみの敵対者に興味深いひねりを加えたものです。彼らは「心の吸血鬼」で、人間を食べる代わりに、その心に宿り、言葉にならないことをさせるように操ることができます。でもわたしたちの説明では十分ではありません──スティーブン・キングはこの作品を「20世紀最大のホラー小説のひとつ」と評しています。
	14．Jennifer Hillier『Wonderland』2016年シーサイドの警察署長に就任したヴァネッサ・カストロは、古風な魅力を持つ遊園地「ワンダーランド」で、すでに死体に直面しています。ピエロの博物館、蝋人形、アンティークの磁器人形など、この場所のすべてが不気味ですが、「恐怖の館」ほど恐ろしいものはありません。
	15．Kelly Parsons『Doing Harm』2014年病院は、常にひとが死んでおり、サイコパスの殺人鬼が活動するには最適な場所です。病院に行くのがちょっと怖いと思っているのなら、それは間違いです。それはとても怖いことなのです。
	16．ロアルド・ダール『Roald Dahl's Book of Ghost Stories』1983年若い読者のためにたくさんの規格外の物語を書いたロアルド・ダールは、このアンソロジーの14編を選ぶにあたって、大英博物館の図書館で749の短編を熟読したと言っています。彼が収録するための基準にしたのは、物語が「あなたをゾッとさせ、思考を邪魔する」ことでした。
	17．ジョン・ウィンダム『呪われた村』1957年エイリアンの侵略？　あらゆる武器を使って彼らと戦えます。子供のなかにいるエイリアン？　「The Midwich Cuckoos」の大前提となる、非常に厄介な問題です。金色の目をした、テレパシーでコミュニケーションをとる超知的な子供たちは、史上最大の、そして最も不気味な悪役のひとつに数えられます。1960年に公開された映画『呪われた村』は、この本を原作としており、「世界の意思を麻痺させる視線に気をつけろ」というキャッチフレーズが付けられていました。どんな状況においても優れたアドバイスでしょう。
	18．ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』1938年この本は、設定が緊張と恐怖を高めることができるという典型的な例です。海辺の孤立した屋敷、邪悪な家政婦、不在の新夫......。なんて素晴らしい設定なのでしょう。
	19．ライオネル・シュライヴァー『少年は残酷な弓を射る』2003年この小説は、親、親になることを考えている人、またはティーンエイジャーを知るひとにとって恐ろしい作品です。母親が正しいことをしていても、子供は恐ろしい悪事を犯すことのできる他人に成長してしまうことを示しているのです。
	20．イーディス・ウォートン『イーサン・フローム』1911年高校生のときにこの本を読んで、嫌な思いをした人もいるでしょう。それは、恐ろしさを理解するには若すぎたからです。大人になってから読めば、なぜこの本が最恐のホラー本のリストに入っているのかがわかるでしょう。
	21．L・A・Banks『Minion』2003年トワイライト好きにはたまらない、ダークな展開です。ダマリ・リチャーズは、昼間は売れっ子のスポークン・ワード・アーティスト、夜はヴァンパイア・ハンターとして活躍します。驚くべき数の殺人事件が自分の住む街で発生し、ダマリはこれまでに遭遇したことのない最強のヴァンパイアと戦わなければならないことに気づきます。全12巻のシリーズのうち、「Minion」はクラシック・チェーンの第１作目にあたります。
	22．メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』1811年この大ヒット作が時を超えて愛されるのには理由があります。すでにストーリーを知っていても（あるいは学校のテキストだったとしても）、狂気の医師と彼の創造物の失敗の物語は、史上最も怖い本のひとつとして再読されるべきです。
	23．ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』1954年墜落した飛行機の影響で、無人島に取り残された少年たち。最初は自由を謳歌していましたが、やがて自分たちが作り出した恐ろしくも激しい闘争に巻き込まれていきます。これは最も恐ろしいホラー本のひとつです。どんなに文明的な生活を送っていても、人間の内なる怪物を引き出すのにそれほど時間はかからないことを示唆しているからです。
	24．Octavia E・Butler『Dawn』1987年 SFの先駆者であるオクタヴィア・E・バトラーは、心に残る『Xenogenesis』シリーズを『Dawn』でスタートさせました。終末戦争後の世界で、エイリアンが最後に残った人間を誘拐しました。彼らの目的は人間を傷つけることではなく、研究して荒廃した地球で再繁殖するのを助けようとしているのです。しかし、それはさらに悪いことになるのでは？
	25．Grady Hendrix『Horrorstör』2014年現代のホラー界の巨匠グラディ・ヘンドリックスは、おなじみのお化け屋敷のモチーフを現代風にアレンジしています。不気味な古い屋敷ではなく、イケアのような家具店で幽霊が発生するのです。毎朝買い物客を出迎える原因不明の破壊行為の真相を究明するため、３人の従業員がボランティアで夜勤を担当します。恐怖の連続で、あなたは地元のイケアに再び足を踏み入れることを躊躇するかもしれません。
	26．Alma Katsu『The Hunger』2018年飢え、議論、そして少年の不可解な死が、ドナー党を狂気に駆り立てます。彼らは悲劇と、誰か（あるいは何か）が自分たちを見ているという感覚から逃れられません。恐怖と歴史小説がシームレスに融合したホラーブック。
	27．Thomas Tryon『The Other』1971年双子のホランドとナイルズは全く違う性格だが、お互いの考えがほとんど読めてしまうほど仲が良い。父親の死後、ホランドのいたずらはエスカレートし、ナイルズは真相を究明しなければならなくなります。本作は、人間の中に潜む闇を探るサイコロジカル・スリラーです。
	28．ジェイ・アンソン『アミティヴィルの恐怖』1977年真のホラー映画は知っていても、本を読んだことはありますか？　ロングアイランドの新居にようやく引っ越してきたルッツ一家。その家で連続殺人事件が起きたことは知っていましたが、断念するにはあまりにもお手頃な価格でした。しかしわずか28日で、ルッツ一家は純然たる恐怖にとらわれ逃げ出したのです。
	29．Agustina Bazterrica『Tender is the Flesh』2017年謎のウイルスにより、すべての動物の肉が人間にとって毒となり、人々は共食いに走ります。人間は加工工場で "特別な肉 "として包装されるのです。この本を読めば、次のステーキディナーが恐怖の食事になるかもしれません。
	30．スティーヴン・キング『シャイニング』1977年最高のホラー本のリストは、「シャイニング」を抜きにしては語れません。ジャック・トランスは、新たなスタートを切るためにオーバールックホテルへ向かいます。それは、ホテルでの夜が少し異常なものになるまでのことでした。
	31．鈴木光司『リング』1991年そのビデオを観た者は、ある行為をしなければ、ちょうど１週間後に死ぬといいます。テープを観た４人のティーンエイジャーが死亡し、ジャーナリストが事件の真相究明に乗り出します。
	32．Grady Hendrix『The Final Girl Support Group』2021年定義によれば、「ファイナル・ガール」とは、スラッシャー映画の最後に立っている生き残りの女性のことです（ハロウィーン・シリーズのローリーを考えてみてください）。しかし映画が終わって、彼女たちはどうなるのでしょうか？　グラディ・ヘンドリックスの最新作によると、生存者たちはそれぞれの恐怖に対処するためにセラピーに通います、そのうちのひとりが姿を消すまで。
	33．Rachel Caine『Stillhouse Lake』2017年平凡な生活を送っていたジーナとその家族でしたが、交通事故によって夫の秘密が明らかになります。彼は連続殺人犯だったのです。夫が刑務所に入ったことで、ジーナは２人の子供を連れて人里離れた湖畔の家に引っ越し、脅迫や彼女が夫の共犯者だと主張する人びとから逃れようとしまう。しかし、湖畔で死体が発見され、ジーナは第一容疑者となるのでした。
	34．Simone St. James『The Sun Down Motel』2020年 1982年、ニューヨークに引っ越す準備をしていたヴィヴ・ディレイニーは、費用を捻出するためにニューヨーク州北部にあるサンダウン・モーテルで事務員の仕事をしています。しかし、そのホテルでは何かが大きく狂っていました。時は過ぎて2017年。カーリー・カークは、数年前にヴィヴおばさんが行方不明になった理由を探るため、モーテルに乗り込みます。
	35．セーアン・スヴァイストロプ『チェスナットマン』2018年コペンハーゲンでは、「チェスナットマン」と呼ばれるサイコパスが混乱を引き起こしています。彼はすべての犯罪現場にマッチ棒と栗で作った手作りの人形を置いていくのが特徴です。二人の刑事は、彼が再び襲いかかる前に、恐ろしい手掛かりを解明しようとします。
	36．Josh Malerman『Bird Box』2014年 Netflixの映画化作品をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、「Bird Box」は一読の価値があり、何日も夢に出てくるでしょう。マロリーは、謎の生物が世界を支配したあとの、生存者の一人です。一度この怪物を見れば、ひとは致命的な暴力に走ることになります。マロリーは聴覚だけを頼りに、子供たちを安全な場所に連れて行こうとしています。
	37．Riley Sager『Lock Every Door』2019年わたしのお気に入りの作品のひとつである『Lock Every Door』、異常なほどひと目につかない、マンハッタンのミステリアスな建物でアパートのシッターをしているジュールズが主人公です。住民の失踪が相次ぎ、このビルの暗い歴史が明らかになっていきます。
	38．Stephen Chbosky『Imaginary Friend』2019年母親と一緒に町に到着して間もなく、クリストファーは行方不明になります。数日後、彼は森の中から出てきて、頭のなかで何かをしろと命じる声がすると主張します。この作品は、不気味という言葉では語り尽くせないほど不気味です。
	39．ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』1897年『ドラキュラ』は、すべての吸血鬼本を定義した吸血鬼本です。ジョナサン・ハーカーという事務弁護士が、出張でトランシルバニアの貴族、ドラキュラ伯爵の城に泊まることになります。何が起こるか、もうお分かりですね。
	40．Silvia Moreno-Garcia『Mexican Gothic』2020年ノエミ・タボアダは、結婚したばかりのいとこから手紙を受け取ります。彼女は、差し迫った運命から自分を救ってくれる人を求めていたのです。ノエミは何が起こるかわからないメキシコの田舎へと向かいます。そこで彼女が直面するのは、いとこの脅迫的な夫とその年老いた父親、そして血のイメージで彼女の夢を支配する家でした。家の秘密を探っていくうちに、彼女は想像以上の暴力と狂気の物語を知ることになるのです。
	41．スーザン・ヒル『黒衣の女』1983年ロンドンの事務弁護士アーサー・キップスは、出張で遠く離れた町に派遣されます。彼の旅は、黒い服を着た幻の女性に取り憑かれていると信じたときから、恐ろしい方向へと進んでいきます。
	42．アンジェラ・カーター『血染めの部屋』1979年アンジェラ・カーターは、「赤ずきんちゃん」や「美女と野獣」などの古典的なおとぎ話をゴシック風にリメイクしています。
	43．ウィリアム・マーチ『悪い種子』1954年８歳のロンダ・ペンマークは無邪気な少女でした、隣人が重大な事故に遭ってしまうまでは。少女の母親は、なぜロンダがいると恐ろしいことが起こるのかと疑問を持ち始めます。
	44．Katherine Dunn『Geek Love』1989年タイトルに惑わされてはいけません。これはロマンス小説ではありません。ビネウスキはサーカス団の一家で、有名な麻薬の助けを借りて奇妙な仲間たちを育ててきました。この一家が国中で演技をするようになると、「兄弟喧嘩」の語に新たな意味が生まれます。
	45．ブレット・イーストン・エリス『アメリカン・サイコ』1991年この世界的ベストセラーは、現代の名作です。1980年代、ウォール街で稼ぐためにマンハッタンに引っ越してきたパトリック・ベイトマンは、夜になると殺人や拷問によって本当の自分を表現するようになります。
	46．Lee Mandelo『Summer Sons』2021年アンドリューとエディは、何をするにも一緒だった親友同士。エディは大学院に進学すると、自殺と思われる死を遂げてしまいます。しかし、アンドリューは友人の死の理由を探りながら、何か別のことが起こっていると考えます。
	47．Katrina Leno『Horrid』2020年父親の死をきっかけに、カリフォルニア州からメイン州に母親と一緒に引っ越してきた若い女の子。しかし、新居では何か奇妙なことが起きており、それは誰も入ることができない鍵のかかった倉庫に関係していました。
	48．Stephen Graham Jones『The Only Good Indians』2020年４人のアメリカン・インディアンの男性とその家族は、子供の頃に起きた不穏な出来事に悩まされています。数年後、彼らは自分たちが残してきた文化や伝統と、最も暴力的な方法で戦っていることに気づきます。
	49．スティーヴン・キング『アウトサイダー』2018年リトルリーグのコーチであるテリー・メイトランドがひとを、それも子供を殺すとはだれも想像していませんでした。それにもかかわらず、彼は少年殺害の罪で有罪判決を受けてしまいます。しかし、オクラホマのこの小さな町の通りには、もっと邪悪なものが潜んでいたのです。
	50．ピーター・ストラウブ『ゴースト・ストーリー』1979年ニューヨーク州の北部で、４人の老人が集まり、恐ろしい話をしていました。しかし、話のひとつが彼らを悩ませます。過去は永遠に隠しておくことはできません。

元記事：

	１．スティーヴン・キング『呪われた町』1975年もし、あなたが手放すことのできない本を探しているなら、スティーブン・キングが書いた初期の作品を読んでみてください。これは彼の最初の吸血鬼の本であり、極上の恐怖です。
	２．Christopher Buehlman『Those Across the River』2011年 1935年、スキャンダルから逃れた教授が妻と共にジョージア州の実家に移り住みます。そこは彼の祖先が所有していたプランテーションの跡地の近くでした。毎月、町の人々は２匹の豚に花をつけて川を渡らせるという奇妙な生け贄の儀式を行っています。その豚は二度と戻ってきません。いったい何が彼らを食べているのか？　そして、町の人々が豚を送るのをやめたとき、何が起こるのか？　過去の罪の代償を描いた、超自然現象を取り入れたサザンゴシックです。さらなる恐怖を求めるなら、夜に読みたくないゴーストストーリーをお見逃しなく。
	３．トニ・モリスン『ビラヴド』1987年トニ・モリソンの最も影響力のある作品の一つである「最愛の人」は、南北戦争後のオハイオ州を舞台に、夫と子供を亡くした脱走奴隷のセテを描いています。夫と子供を亡くした脱走奴隷のセテは、脱走から数年経っても恐怖から解放されず、亡くした赤ん坊に悩まされていました。セテは非常に恐ろしい方法で自分の過去と向き合うことを余儀なくされます。
	４．ウィリアム・ピーター・ブラッティ『エクソシスト』1971年『エクソシスト』が史上最恐の映画のひとつになったのは、史上最恐の小説のひとつだったからです。まさに古典的な本から映画化された作品と言えるでしょう。
	５．スコット・スミス『ルインズ　廃墟の奥へ』2006年メキシコのジャングルを旅していた若者たちは、古代の遺跡と、古代の邪悪なものに遭遇します。ジョーズ』のようですが、植物です。植物の王国が恐怖の源になることはないと思っている人は、この本を読んでいないのではないでしょうか。
	６．L・Marie Wood『Crescendo』2003年ニューヨーク郊外で比較的普通の生活を送っていたジェームズ・アダムスは、一族の呪いに取り憑かれ、正気の概念を超えて、最大の恐怖をコントロールできない状態に陥ってしまう。悪魔が彼の中で立ち上がり、恐るべき真実を暴き、彼の運命を明らかにする。
	７．ニール・ゲイマン『コララインとボタンの魔女』2002年この本には、「あなたのもう一人のお母さん」という、おそらく最恐のアイデアが含まれています。子供向けの小説ではありますが、怖がりの子供にはよませないほうがいいでしょう、いえ、大人になってからのほうがいいかも知れません。ティーンエイジャーのかたもご注意を。
	８．Helen Oyeyemi『White is for Witching』2009年英国、４世代にわたってシルバー家の女性たちが暮らしている家があります。ミランダの母親が亡くなると、彼女はいくつかの奇妙な病気に苦しみ始め、友人を家に連れて帰ったあと、小さな町の敵意が家のなかにあらわれ、すべての人を永遠に変えます。女性作家の作品の中でも、ぜひ読んでおきたい一冊です。
	９．シャーリイ・ジャクスン『丘の屋敷』1959年映画化（そしてNetflixでシリーズ化）された最恐のホラー本をもうひとつご紹介しましょう。映画作品が好きなひとは、本がさらに優れていることを知って喜ぶでしょう（いつもそうですよね？）。
	10．スティーヴン・キング『IT』1986年スティーブン・キングがホラー本のトップリストに何度も登場しているのは、驚くべきことではありません。彼は何と言っても、恐怖の王様なのですから。この小説では、古くて新しい恐怖症をテーマにしています。ピエロです。メイン州デリーの下水道に住む殺人ピエロのペニーワイズは、町の若い住民を食い物にしています。
	11．レイ・ブラッドベリ『何かが道をやってくる』1962年２人の少年が旅先のカーニバルで、悪意を抱きながら、願いを叶えるダーク氏と出会う、というこの本の設定は、まさにレイ・ブラッドベリそのものです。彼の最も有名な作品ではないかもしれませんが、彼の最高傑作かもしれません。
	12．リチャード・プレストン『ホット・ゾーン』1994年このノンフィクションは、エボラウイルスがアメリカを破壊しそうになったという内容です。フィクションとしても面白いのですが、実際に起きそうになったことを知るとさらに怖くなります。COVID-19の時代に、これは確かにホラーに分類されます。
	13．ダン・シモンズ『殺戮のチェスゲーム』1989年ここでの悪役は、おなじみの敵対者に興味深いひねりを加えたものです。彼らは「心の吸血鬼」で、人間を食べる代わりに、その心に宿り、言葉にならないことをさせるように操ることができます。でもわたしたちの説明では十分ではありません──スティーブン・キングはこの作品を「20世紀最大のホラー小説のひとつ」と評しています。
	14．Jennifer Hillier『Wonderland』2016年シーサイドの警察署長に就任したヴァネッサ・カストロは、古風な魅力を持つ遊園地「ワンダーランド」で、すでに死体に直面しています。ピエロの博物館、蝋人形、アンティークの磁器人形など、この場所のすべてが不気味ですが、「恐怖の館」ほど恐ろしいものはありません。
	15．Kelly Parsons『Doing Harm』2014年病院は、常にひとが死んでおり、サイコパスの殺人鬼が活動するには最適な場所です。病院に行くのがちょっと怖いと思っているのなら、それは間違いです。それはとても怖いことなのです。
	16．ロアルド・ダール『Roald Dahl's Book of Ghost Stories』1983年若い読者のためにたくさんの規格外の物語を書いたロアルド・ダールは、このアンソロジーの14編を選ぶにあたって、大英博物館の図書館で749の短編を熟読したと言っています。彼が収録するための基準にしたのは、物語が「あなたをゾッとさせ、思考を邪魔する」ことでした。
	17．ジョン・ウィンダム『呪われた村』1957年エイリアンの侵略？　あらゆる武器を使って彼らと戦えます。子供のなかにいるエイリアン？　「The Midwich Cuckoos」の大前提となる、非常に厄介な問題です。金色の目をした、テレパシーでコミュニケーションをとる超知的な子供たちは、史上最大の、そして最も不気味な悪役のひとつに数えられます。1960年に公開された映画『呪われた村』は、この本を原作としており、「世界の意思を麻痺させる視線に気をつけろ」というキャッチフレーズが付けられていました。どんな状況においても優れたアドバイスでしょう。
	18．ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』1938年この本は、設定が緊張と恐怖を高めることができるという典型的な例です。海辺の孤立した屋敷、邪悪な家政婦、不在の新夫......。なんて素晴らしい設定なのでしょう。
	19．ライオネル・シュライヴァー『少年は残酷な弓を射る』2003年この小説は、親、親になることを考えている人、またはティーンエイジャーを知るひとにとって恐ろしい作品です。母親が正しいことをしていても、子供は恐ろしい悪事を犯すことのできる他人に成長してしまうことを示しているのです。
	20．イーディス・ウォートン『イーサン・フローム』1911年高校生のときにこの本を読んで、嫌な思いをした人もいるでしょう。それは、恐ろしさを理解するには若すぎたからです。大人になってから読めば、なぜこの本が最恐のホラー本のリストに入っているのかがわかるでしょう。
	21．L・A・Banks『Minion』2003年トワイライト好きにはたまらない、ダークな展開です。ダマリ・リチャーズは、昼間は売れっ子のスポークン・ワード・アーティスト、夜はヴァンパイア・ハンターとして活躍します。驚くべき数の殺人事件が自分の住む街で発生し、ダマリはこれまでに遭遇したことのない最強のヴァンパイアと戦わなければならないことに気づきます。全12巻のシリーズのうち、「Minion」はクラシック・チェーンの第１作目にあたります。
	22．メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』1811年この大ヒット作が時を超えて愛されるのには理由があります。すでにストーリーを知っていても（あるいは学校のテキストだったとしても）、狂気の医師と彼の創造物の失敗の物語は、史上最も怖い本のひとつとして再読されるべきです。
	23．ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』1954年墜落した飛行機の影響で、無人島に取り残された少年たち。最初は自由を謳歌していましたが、やがて自分たちが作り出した恐ろしくも激しい闘争に巻き込まれていきます。これは最も恐ろしいホラー本のひとつです。どんなに文明的な生活を送っていても、人間の内なる怪物を引き出すのにそれほど時間はかからないことを示唆しているからです。
	24．Octavia E・Butler『Dawn』1987年 SFの先駆者であるオクタヴィア・E・バトラーは、心に残る『Xenogenesis』シリーズを『Dawn』でスタートさせました。終末戦争後の世界で、エイリアンが最後に残った人間を誘拐しました。彼らの目的は人間を傷つけることではなく、研究して荒廃した地球で再繁殖するのを助けようとしているのです。しかし、それはさらに悪いことになるのでは？
	25．Grady Hendrix『Horrorstör』2014年現代のホラー界の巨匠グラディ・ヘンドリックスは、おなじみのお化け屋敷のモチーフを現代風にアレンジしています。不気味な古い屋敷ではなく、イケアのような家具店で幽霊が発生するのです。毎朝買い物客を出迎える原因不明の破壊行為の真相を究明するため、３人の従業員がボランティアで夜勤を担当します。恐怖の連続で、あなたは地元のイケアに再び足を踏み入れることを躊躇するかもしれません。
	26．Alma Katsu『The Hunger』2018年飢え、議論、そして少年の不可解な死が、ドナー党を狂気に駆り立てます。彼らは悲劇と、誰か（あるいは何か）が自分たちを見ているという感覚から逃れられません。恐怖と歴史小説がシームレスに融合したホラーブック。
	27．Thomas Tryon『The Other』1971年双子のホランドとナイルズは全く違う性格だが、お互いの考えがほとんど読めてしまうほど仲が良い。父親の死後、ホランドのいたずらはエスカレートし、ナイルズは真相を究明しなければならなくなります。本作は、人間の中に潜む闇を探るサイコロジカル・スリラーです。
	28．ジェイ・アンソン『アミティヴィルの恐怖』1977年真のホラー映画は知っていても、本を読んだことはありますか？　ロングアイランドの新居にようやく引っ越してきたルッツ一家。その家で連続殺人事件が起きたことは知っていましたが、断念するにはあまりにもお手頃な価格でした。しかしわずか28日で、ルッツ一家は純然たる恐怖にとらわれ逃げ出したのです。
	29．Agustina Bazterrica『Tender is the Flesh』2017年謎のウイルスにより、すべての動物の肉が人間にとって毒となり、人々は共食いに走ります。人間は加工工場で "特別な肉 "として包装されるのです。この本を読めば、次のステーキディナーが恐怖の食事になるかもしれません。
	30．スティーヴン・キング『シャイニング』1977年最高のホラー本のリストは、「シャイニング」を抜きにしては語れません。ジャック・トランスは、新たなスタートを切るためにオーバールックホテルへ向かいます。それは、ホテルでの夜が少し異常なものになるまでのことでした。
	31．鈴木光司『リング』1991年そのビデオを観た者は、ある行為をしなければ、ちょうど１週間後に死ぬといいます。テープを観た４人のティーンエイジャーが死亡し、ジャーナリストが事件の真相究明に乗り出します。
	32．Grady Hendrix『The Final Girl Support Group』2021年定義によれば、「ファイナル・ガール」とは、スラッシャー映画の最後に立っている生き残りの女性のことです（ハロウィーン・シリーズのローリーを考えてみてください）。しかし映画が終わって、彼女たちはどうなるのでしょうか？　グラディ・ヘンドリックスの最新作によると、生存者たちはそれぞれの恐怖に対処するためにセラピーに通います、そのうちのひとりが姿を消すまで。
	33．Rachel Caine『Stillhouse Lake』2017年平凡な生活を送っていたジーナとその家族でしたが、交通事故によって夫の秘密が明らかになります。彼は連続殺人犯だったのです。夫が刑務所に入ったことで、ジーナは２人の子供を連れて人里離れた湖畔の家に引っ越し、脅迫や彼女が夫の共犯者だと主張する人びとから逃れようとしまう。しかし、湖畔で死体が発見され、ジーナは第一容疑者となるのでした。
	34．Simone St. James『The Sun Down Motel』2020年 1982年、ニューヨークに引っ越す準備をしていたヴィヴ・ディレイニーは、費用を捻出するためにニューヨーク州北部にあるサンダウン・モーテルで事務員の仕事をしています。しかし、そのホテルでは何かが大きく狂っていました。時は過ぎて2017年。カーリー・カークは、数年前にヴィヴおばさんが行方不明になった理由を探るため、モーテルに乗り込みます。
	35．セーアン・スヴァイストロプ『チェスナットマン』2018年コペンハーゲンでは、「チェスナットマン」と呼ばれるサイコパスが混乱を引き起こしています。彼はすべての犯罪現場にマッチ棒と栗で作った手作りの人形を置いていくのが特徴です。二人の刑事は、彼が再び襲いかかる前に、恐ろしい手掛かりを解明しようとします。
	36．Josh Malerman『Bird Box』2014年 Netflixの映画化作品をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、「Bird Box」は一読の価値があり、何日も夢に出てくるでしょう。マロリーは、謎の生物が世界を支配したあとの、生存者の一人です。一度この怪物を見れば、ひとは致命的な暴力に走ることになります。マロリーは聴覚だけを頼りに、子供たちを安全な場所に連れて行こうとしています。
	37．Riley Sager『Lock Every Door』2019年わたしのお気に入りの作品のひとつである『Lock Every Door』、異常なほどひと目につかない、マンハッタンのミステリアスな建物でアパートのシッターをしているジュールズが主人公です。住民の失踪が相次ぎ、このビルの暗い歴史が明らかになっていきます。
	38．Stephen Chbosky『Imaginary Friend』2019年母親と一緒に町に到着して間もなく、クリストファーは行方不明になります。数日後、彼は森の中から出てきて、頭のなかで何かをしろと命じる声がすると主張します。この作品は、不気味という言葉では語り尽くせないほど不気味です。
	39．ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』1897年『ドラキュラ』は、すべての吸血鬼本を定義した吸血鬼本です。ジョナサン・ハーカーという事務弁護士が、出張でトランシルバニアの貴族、ドラキュラ伯爵の城に泊まることになります。何が起こるか、もうお分かりですね。
	40．Silvia Moreno-Garcia『Mexican Gothic』2020年ノエミ・タボアダは、結婚したばかりのいとこから手紙を受け取ります。彼女は、差し迫った運命から自分を救ってくれる人を求めていたのです。ノエミは何が起こるかわからないメキシコの田舎へと向かいます。そこで彼女が直面するのは、いとこの脅迫的な夫とその年老いた父親、そして血のイメージで彼女の夢を支配する家でした。家の秘密を探っていくうちに、彼女は想像以上の暴力と狂気の物語を知ることになるのです。
	41．スーザン・ヒル『黒衣の女』1983年ロンドンの事務弁護士アーサー・キップスは、出張で遠く離れた町に派遣されます。彼の旅は、黒い服を着た幻の女性に取り憑かれていると信じたときから、恐ろしい方向へと進んでいきます。
	42．アンジェラ・カーター『血染めの部屋』1979年アンジェラ・カーターは、「赤ずきんちゃん」や「美女と野獣」などの古典的なおとぎ話をゴシック風にリメイクしています。
	43．ウィリアム・マーチ『悪い種子』1954年８歳のロンダ・ペンマークは無邪気な少女でした、隣人が重大な事故に遭ってしまうまでは。少女の母親は、なぜロンダがいると恐ろしいことが起こるのかと疑問を持ち始めます。
	44．Katherine Dunn『Geek Love』1989年タイトルに惑わされてはいけません。これはロマンス小説ではありません。ビネウスキはサーカス団の一家で、有名な麻薬の助けを借りて奇妙な仲間たちを育ててきました。この一家が国中で演技をするようになると、「兄弟喧嘩」の語に新たな意味が生まれます。
	45．ブレット・イーストン・エリス『アメリカン・サイコ』1991年この世界的ベストセラーは、現代の名作です。1980年代、ウォール街で稼ぐためにマンハッタンに引っ越してきたパトリック・ベイトマンは、夜になると殺人や拷問によって本当の自分を表現するようになります。
	46．Lee Mandelo『Summer Sons』2021年アンドリューとエディは、何をするにも一緒だった親友同士。エディは大学院に進学すると、自殺と思われる死を遂げてしまいます。しかし、アンドリューは友人の死の理由を探りながら、何か別のことが起こっていると考えます。
	47．Katrina Leno『Horrid』2020年父親の死をきっかけに、カリフォルニア州からメイン州に母親と一緒に引っ越してきた若い女の子。しかし、新居では何か奇妙なことが起きており、それは誰も入ることができない鍵のかかった倉庫に関係していました。
	48．Stephen Graham Jones『The Only Good Indians』2020年４人のアメリカン・インディアンの男性とその家族は、子供の頃に起きた不穏な出来事に悩まされています。数年後、彼らは自分たちが残してきた文化や伝統と、最も暴力的な方法で戦っていることに気づきます。
	49．スティーヴン・キング『アウトサイダー』2018年リトルリーグのコーチであるテリー・メイトランドがひとを、それも子供を殺すとはだれも想像していませんでした。それにもかかわらず、彼は少年殺害の罪で有罪判決を受けてしまいます。しかし、オクラホマのこの小さな町の通りには、もっと邪悪なものが潜んでいたのです。
	50．ピーター・ストラウブ『ゴースト・ストーリー』1979年ニューヨーク州の北部で、４人の老人が集まり、恐ろしい話をしていました。しかし、話のひとつが彼らを悩ませます。過去は永遠に隠しておくことはできません。