北村薫・宮部みゆき編『名短篇、ここにあり』ちくま文庫、2008年【12冊】
北村薫・宮部みゆき編『名短篇、ここにあり』から12冊のご紹介です。5「少女架刑」や10「誤訳」などは現在もほかの本をあたることができますが、2「夜のぬいぐるみ」や4「隠し芸の男」はもはやこちらを頼る以外に方途がないように思われます。ブックオフではやたらと安売りされていてうら悲しくなってくる本書ですが、古書価とは裏腹にマニアックかつ、北村先生と宮部先生の短編小説に関する造詣の深さをうかがい知ることができる一冊となっております。12「鬼」も、今刊行されている講談社文芸文庫『妖・花食い姥』には収録されいませんからご注意ください。要するに、この『名短篇、ここにあり』を買って読むのがいちばん手っ取り早いのであります(笑)
KEYBOOK 北村薫・宮部みゆき編『名短篇、ここにあり』ちくま文庫、2008年 本の目利き二人の議論沸騰し、迷い、悩み、選び抜かれたとっておきのお薦め短篇12篇。半村良「となりの宇宙人」、黒井千次「冷たい仕事」、小松左京「むかしばなし」、城山三郎「隠し芸の男」、吉村昭「少女架刑」、吉行淳之介「あしたの夕刊」、山口瞳「穴」、多岐川恭「網」、戸板康二「少年探偵」など、意外な作家の意外な逸品、胸に残る名作をお楽しみ下さい。文庫オリジナル。 |
1.半村良「となりの宇宙人」 円盤の事故で不時着した宇宙人とアパートの住人との交流を描く表題作、ある日突然宇宙からやってきて世界中の道路を走りはじめた無数のボールの騒動、落語の語り口によるブリキ屋源さんのライターをめぐる数奇な物語、交通事故を境に理由もなく人に嫌われるようになった男の悲劇等、語りの名手による奇妙な10のSF短篇。 |
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2.黒井千次「冷たい仕事」 収録本『夜のぬいぐるみ』冬樹社、1973年 1969年代初期から73年までの間に発表された作品を収めている。『呼び出し』と『逃げたことば』は20ページ以上あるが、他の16編はいずれも掌編である。そしてその大部分が、不合理なことが起こるシュールレアリスム系の作品だ。挿絵がまた、地と図柄とが途中で反転するタイプなどのだまし絵である。いや、1枚だけ、円盤型宇宙船の構造図もあるか。その挿絵は、『呼び出し』やそれと似たテーマの『気がかり』、奇病を扱った『変な春』のようにSFっぽい(それでも理屈で割り切れない不気味さを持つ)作品に呼応している。(Amazonレビューより) |
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3.小松左京「むかしばなし」 収録本『小松左京全集完全版25 短編小説集 全ショートショート集』城西国際大学出版会、2017年 小松左京の発表した小説(長編・短編・ショートショート)、漫画、戯曲、評論・随筆などを、ジャンル別に分類し、ゆるやかな編年体で編集した、「宇宙的・知」の集大成。第25巻はショートショートを収録。 |
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4.城山三郎「隠し芸の男」 掌にのせて、いつまでも楽しみたい! 新進作家のみずみずしい作品から老練作家の滋味あふれる文章まで30編の掌編小説を収録。 |
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5.吉村昭「少女架刑」 収録本『少女架刑 吉村昭自選初期短篇集1』中公文庫、2018年 徹底した取材と綿密な調査に基づく重厚な歴史小説で知られる作家・吉村昭。その文学的出発点を示す自選短篇集(全二巻)。第1巻には表題作のほか、三島由紀夫が激賞した「死体」、初の芥川賞候補作「鉄橋」など、一九五二年から六〇年までの七編を収める。巻末にエッセイ「遠い道程」を付す。 |
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6.吉行淳之介「あしたの夕刊」 収録本『吉行淳之介全集3』新潮社、1997年 「不意の出来事」「花束」「手品師」ほか34篇。新潮社文学賞受賞作。 |
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7.山口瞳「穴 考える人たち」 収録本『考える人たち』文春文庫、1982年 |
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8.多岐川恭「網」 収録本『的の男』創元推理文庫、2000年 極悪非道な強腰で成り上がった実業家鯉淵丈夫は、過去買った恨みも数知れず。肚に据えかねた七人が鯉淵めを亡き者にしようと秘策を凝らすが、憎まれっ子世に憚るを地で行くこの男、そう簡単には死んでくれそうもない。標的を巡る刺客たちのドラマ『的の男』と、不動産会社社長のお屋敷で起こった怪死事件『お茶とプール』を併せ収める。 |
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9.戸板康二「少年探偵」 収録本 日本文芸家協会編『現代の小説〈1994〉』徳間書店、1994年 |
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10.松本清張「誤訳」 妻子ある男を好きになってしまった銀行勤めの伴子。男と結婚するのに必要となる三千万円を横領するが、たった一枚の百円玉が、その運命を反転させる「百円硬貨」。毎日弁当を作り、ボーナスで洋服を仕立てて、年下の男に尽くす滝子。男が若い女と結婚することが決まり潔く身を引くが、結婚前夜に男が訪ねて来て……「記念に」。愛を追い求めた女たちの運命――。深い情念を描く短編11編! |
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11.井上靖「考える人」 収録本『井上靖全集18』新潮社、1996年 明治の終わりごろアメリカに渡った近親の異文化との巡り合い。昭和四十一年一月から五十年十二月まで断続的に発表された未完の長篇「わだつみ」を収録。
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12.円地文子「鬼」 |
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