森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』幻冬舎、2003年【32冊】
KEYBOOK、森川嘉一郎『趣都の誕生』の参考文献から32冊のご紹介です。わたしたちがオタクとは何かを語ろうとするとき、マンガやアニメやゲームといったソフト、あるいはそれと戯れるオタクの振る舞いに飛びつきがちですが、それを都市論という切り口から解き明かそうとしたのが本書。ちょっと考えたらこのアプローチが極めて妥当だと分かります。オタクだからコレクションするのか、コレクションするからオタクなのか。オタクが自分の「城」を窒息しそうなほど嗜好品で埋め尽くすのはつとに知られた生活スタイル。そうした内向的価値観のベクトルは、グッズで破裂しそうな部屋以外にも、愛好するグッズをすべて身につけ徘徊するカタツムリのような行動様式や、都心部から隔離された場所でひと目を避けるように開催されるコミケ、だれが読むとも知れない趣味の情報を詰め込んだ往時のホーム(=家)ページ等々の閉鎖的な空間をかたちづくってきました(だからパソコンとオタクは極めて相性がいいのです)。研究者のなかにはオタクをひきこもりの一種と見做すひともいます。プライベートな空間、引いてはわたしたちを包む都市のありようから、オタクとは何であるのかを読み解くことは可能ではないでしょうか。
10『錯乱のニューヨーク』、単なる野っぱらだったところに突如として出現したメトロポリス、その背景には建築家、あるいは大衆のどのような思念があったのでしょうか。13『シミュラークル』、最初の萌え絵は自分の初恋の少女をモデルに描いたものだったでしょう。しかしその萌え絵にリボンを付け足すと、まったく新しいキャラとして通用するようになりました。オタクが好むものは少女なのでしょうか、付け足したリボンなのでしょうか。22『動物化するポストモダン』、古典的名著といってもいいでしょう。オタク論、サブカル論について一席ぶちたいひとは、かならず目を通しておきましょう。27『新宗教と巨大建築』、宗教も信者を囲い込むための建造物の構築には昔からこころを傾けてきました。現代に引き継がれてきた神社や寺院を見てもそれは明白ですね。それがさらに尖ったかたちで発展したのが新宗教における建築物です。
KEYBOOK 森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』幻冬舎文庫、2008年 なぜ秋葉原はオタクの聖地へと変貌したのか。なぜパソコンマニアは、アニメ絵の美少女を好んだのか。なぜ“趣味”が都市を変える力を持ったのか。秋葉原の急変を多角的に検証し、そこに立ち現れた人格・趣味・場所の革新的な関係を負うオタク論と都市論が交差するクロスオーバー評論。文庫化にあたり、アキバブームとその後の状況論を増補。 |
1.カール・グスタフ・ユング『タイプ論』みすず書房、1987年 フロイトとの訣別後8年の沈潜を経て発表した記念碑的大著。神話・宗教・文学・哲学・美学・精神病理学など広大な領域を渉猟し、人間の心理的タイプを探究する。待望にこたえる明快・新鮮な完訳。 |
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2.ピエール・ブルデュー『ディスタンクシオン』Ⅰ・Ⅱ、藤原書店、1990年 絵画、音楽、映画、読書、料理、部屋、服装、スポーツ、友人、しぐさ、意見、結婚……。毎日の暮らしの「好み」の中にある階級化のメカニズムを、独自の概念で実証した、ブルデューの押しも押されもしない主著にして名著。 |
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3.クレメント・グリーンバーグ「前衛と通俗物」、『近代芸術と文化』紀伊國屋書店、1965年 | |
4.アブラハム・モル『キッチュの心理学』法政大学出版局、1986年 キッチュとは何か? 〈まがいもの〉〈にせもの〉〈のようなもの〉としてつねに〈真正なもの〉と対比されながらも、美術・音楽・建築・宗教等々、現代の社会と文化の発展を担い、日常のさまざまな領域に生きているキッチュ。この近代的な概念の発生および歴史をたどり、独自の意味と機能を徹底的に解き明かす。 |
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5.レイナー・バンハム『第一機械時代の理論とデザイン』鹿島出版会、1976年
近代建築の成立と発展過程を克明に追究した不朽の名著。今世紀の多くの建築家らの理論的著作、建築物、プロジェクト、ID、絵画・彫刻などを分析し、理論とデザインおよび建築家相互の関係を生々しく描いている。 |
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6.ニコラス・ペヴスナー『モダン・デザインの展開 モリスからグロピウスまで』みすず書房、1957年 1936年に出版されたドイツ出身の建築史家ニコラウス(ニコラス)・ペヴスナーの著作。初期デザイン史の古典と見なされることも多いが、工業製品・家具・印刷物等の実例はさほど登場せず、意匠の変遷それ自体を主題とした本ではない。初版の原題は、第二版以降とは異なり『Pioneers of Modern Movement……』であり、本書のそもその主旨は、ウィリアム・モリスの時代から始まり1914年のグロピウスに至ってモダン・スタイルが成立する事情を跡付けること、またそのように近代の建築や装飾を主たる論題とするにあたって、幾人かの先駆者に焦点を当てながら近代運動の足跡を再認することにあった。 |
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7.アドリアン・フォーティー『欲望のオブジェ デザインと社会 1750‐1980』鹿島出版会、1992年 デザインは社会・経済の産物である。これまで、主義や運動、デザイナー個人を軸として論じられてきたデザイン史を、社会・経済の視点から、デザインの生産システムのプロセスを捉えた最初の一冊。 |
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8.ル・コルビュジエ『建築をめざして』鹿島出版会、1967年 読み継がれる建築の名著。「住宅は住むための機械だ」このあまりにも有名な言葉を含む本書は、ル・コルビュジエの都市・建築に対する新時代の到来を告げる宣言であり、その問題提起は都市・建築を学ぶ人々にとって今なお、刺激的で示唆的である。 |
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9.ロバート・ヴェンチューリ『ラスベガス』鹿島出版会、1978年 都市とは何かを学ぶ。著者はC・ムーアと並ぶいわゆる第三世代の旗頭で、G・ギーディオン以来の正当な近代建築史を否定して波紋を投げた。イェール大学の学生とのラスベガス調査を骨子とした衝撃の一冊。 |
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10.レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』筑摩書房、1995年 人間の欲望と一致するある神話的な到達点を自らの手で目ざし、現代文化の基礎として複合的な超過密文化を生み出した都市マンハッタン。理論のユートピア=摩天楼、理想主義の断片=ロックフェラー・センター、予想外の突然変異=ラジオシティ・ミュージックホール…。地表上をグリッドに仕切り数々の建築物を打ち立てたこの都市の誕生・成立・発展の過程、さらにその可能性と限界を、多くの貴重図版とともにエキサイティングに描き出す。現代建築の巨人による伝説の書、待望の文庫化。この書を読まずして、現代建築を語るなかれ。 |
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11.磯崎新『建築の解体 一九六八年の建築情況』美術出版社、1972年 1960年代の多様化してゆく建築の手法を追跡。ホライン、アーキグラム、ムーア、アレグザンダー等7人の建築家について論じる。30年前、ポストモダンの到来を予告した書。 |
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12.Anthony Vidler『The Architectural Uncanny: Essays in the Modern Unhomely』MIT Press 「The Architectural Uncanny」は、今日の建築を取り巻く最も差し迫った議論の中心にある問題や人物についての、魅力的で独創的な考察のシリーズです。アンソニー・ヴィドラーは、現代の建築物やプロジェクトを、基本的に「家庭的でない」現況のメタファーとして不気味さへの関心の復活に照らして解釈しています。また、ホームレスの現実とネオアバンギャルドの理想主義がこれほどかけ離れているとは思えない時代に、政治、社会思想、建築デザインの間の複雑で困難な関係を解き明かす理論的な内容となっています。 |
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13.ジャン・ボードリヤール『シミュラークルとシミュレーション』法政大学出版局、1984年 最近の政治的・社会的事件,映画,テレビ,SF,クローン生物等を縦横に論じつつ,実在の消滅と〈ハイパーリアル〉の専制を予見し,現代消費社会の状況を抉る。 |
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14.デイアン・スージック『カルト・ヒーロー セレブリティ・ビジネスを読む』晶文社、1990年 ファッション、音楽、アート、建築、スポーツ。分野を問わず、セレブリティ(名声)は巨額の富を生みだす。90年代の急成長産業「セレブリティ・ビジネス」をかずかずの具体例をもとに読みとき、使い捨てられる有名人と、ブランドの魔力に踊らされる消費者の双方に鋭い矢を放つ刺激的な書。 |
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15.中川理『偽装するニッポン 公共施設のディズニーランダゼイション』彰国社、1996年 東へ西へと跳梁跋扈。前代未聞の公共施設。日常空間に突如として現れたデザインは、「かわいい」形態を持ちながらもどこか「奇っ怪な」雰囲気を漂わせている。河童や果物、特産品、動物、メルヘンなど、公共施設に取り付けられた図像たちは、一体何を語ろうとしているのか…。 |
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16.吉見俊哉『博覧会の政治学 まなざしの近代』中央公論新社、1992年 1851年、ロンドンで開催された万国博覧会は、近代産業が生み出す商品の圧倒的量を示すことによって大衆を熱狂させた。博覧会は消費文化の広告装置、大衆娯楽の見世物の役割をはたすと同時に、帝国主義のプロパガンダ装置としての役割をも自己演出していく。このような場で新興国日本は、両義的存在たらざるを得なかった。本書は、博覧会を鏡として、近現代を織りなす「まなざし」に迫り、そこに作動する「力」を剔抉する試みである。 |
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17.John McKean『Crystal Palace』Phaidon、1994年 | |
18.Beth Dunlop『Building a Dream: The Art of Disney Architecture』Harry N Abrams Inc、1996年 ウォルト・ディズニー・カンパニーは、おとぎ話に出てくるようなお城から、世界で最も優れた建築家によって設計された素晴らしい建物まで、大衆的なイメージを想像力豊かに建築に利用するという新しい基準を打ち立ててきました。50年以上前にディズニーランドで初めて表現され、大きな影響力を持つウォルト・ディズニー・カンパニーの建築哲学は、世界中の最も魅力的な伝説や物語、特にディズニー自身の素晴らしいアニメーション映画のキャラクターや設定を利用しています。一方、ディズニーの現会長であるマイケル・アイズナーは、過去10年間、ロバート・A・M・スターン、マイケル・グレイブス、ロバート・ベンチュリー、磯崎新、フランク・ゲーリー、アルド・ロッシ、アルキテクトニカといった一流の建築家にディズニーの重要な建築物を依頼し、ディズニーの伝統の教訓を自らのスタイルに吸収させてきました。その結果、著者のベス・ダンロップは、「筋書きのある建築」、つまり建物を設計するための新しいアプローチが生まれたと述べています。 |
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19.能登路雅子『ディズニーランドという聖地』岩波書店、1990年 カリフォルニアの「魔法の王国」ディズニーランドとは、いったい何なのか。「ディズニーの国」との深いかかわりを通してその表と裏を知り尽くした著者が、絶大な人気の秘密を考察し、そこに満ちるアメリカの過去と未来、ファンタジーと超リアリズムを鋭く解剖する。「ディズニーの国」の東京・パリ進出にも説き及ぶ新鮮なアメリカ文化論。 |
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20.井上章一『人形の誘惑 招き猫からカーネル・サンダースまで』三省堂、1998年 あの奇妙な光景から、すべてははじまった! 客をよび、福をもたらす異形の人形たち。その秘めやかな関係とは? その意外な正体とは?着想の妙と華麗な展開が魅せる不思議の国、日本探検。 |
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21.斎藤環『戦闘美少女の精神分析』太田出版、2000年 ナウシカ、セーラームーン、綾波レイ…日本の漫画・アニメには「戦う少女」のイメージが溢れている。筋肉質なアマゾネス系女戦士とは全く異なり、「トラウマ」を持たない可憐で無垢な戦闘美少女。この特殊な存在は、果たして日本文化のみに見られる現象なのか。彼女たち「ファリック・ガールズ」の特性と、それを愛好する「おたく」の心理的特性を、セクシュアリティの視角から徹底的に分析する。 |
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22.東浩紀『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』講談社、2001年 哲学の本でもなく、社会学の本でもなく、文化研究でもなく、サブカル評論でもなく、社会評論でもなく。浅田彰と宮台真司と大塚英志と岡田斗司夫とフラットに並べて論じ、サブカルチャーとハイカルチャーを行き来するはじめての書として、 |
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国境を越えて世界的に繁殖するオタク文化とは?超人的な視力を持ち、自由に情報発信するオタクとは?極秘オタク情報を開示しつつ、その全貌を明らかにする、フツーの人のためのオタク学バイブル。東大「オタク文化論ゼミ」公認テキスト。 |
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「売り」は「悪い」ことか。大人はそれに答えられるか。見知らめ男を相手に身体を売る女子高生。しかし、彼女たちに倫理を問えるほど、私たちの社会に確固とした倫理規範があるだろうか。家庭・学校・地元―あらゆる既存の共同体が消滅し、「島宇宙化」社会が到来する。90年代以降の社会構造を予見した、新しい異才の問題作。 |
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コンピュータ雑誌『アイコン』に1992-94年にかけて連載された、マニアな人々の部屋訪問記。山のように積まれたモノの数々の写真と、部屋の持ち主へのインタビューから構成。 |
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86年、日本で唯一人“最終解脱”をしたという麻原彰晃。彼を教祖とするオウム真理教がめざしたものは何なのか。教祖や幹部たちへのインタビューを踏まえて、サリンや拉致・監禁疑惑に揺れる教団の実体を検証する。 |
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なぜ前近代の宗教建築は賞賛され、近代以降の教殿はいかがわしいまなざしで見られるのか。天理、大本、金光、PLなどの建築と都市を直視する。 |
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28.『新編千代田区史 通史編』千代田区、1998年 | |
29.『ラオックス70年史』ラオックス、2000年 | |
30.山下裕子「ディスカウンターの盛衰 商業集積としての秋葉原」、『マーケティング革新の時代〈4〉営業・流通革新』有斐閣、1998年 現代マーケティングの最前線。戦後、ダイナミックに変化してきたわが国の営業と流通の仕組みの歴史的変容を、メーカー・チャネル、チェーン・システム、製販一貫システム、ネットワーク化の重層的発展のなかに示す。 |
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31.宮脇修一『造形集団 海洋堂の発想』光文社、2002年 おまけをビッグビジネスに変えた“食玩の巨人”そのパワーとスピリッツ。チョコレートの溶ける夏が過ぎ、秋からいよいよ、5社入り乱れての「おまけつき卵型チョコレート戦争」がはじまります。チョコの中身の模型を作っているのが海洋堂です。少しでも卵型チョコレートのことを御存じなら、海洋堂はバカな会社に映るでしょう。一億2000万個売れたチョコエッグを捨て、別のパートナーと一からスタートするのですから。でも、いいのです。海洋堂は戦うことになれています。ずっとドン・キホーテのように戦ってきたのです。 |
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32.『秋葉原攻略ハンドブック』メディアワークス、2000年 世界で一番濃い街のゲーム・アニメ・ホビー&パソコンその他ショップ情報。家電の街から、電脳の街、さらにはオタクの街とその様相を常に変えつづける世界一のOTAKU CITYアキハバラ。大型チェーン店から路地裏の小さなショップまで、アキバのすべてはここにある! |