優現書房セレクト「殺人の血脈」2021年【19冊】
わたしがこれらの本を読んだとき、ゴシップな興味はなかったと聖人君子ぶるつもりはありません。ただ、それだけが理由でないのも事実です。ひととは何であるかを突き詰めていったときに、極限状況下でのひとの姿はなにがしかの知見を与えてくれます。同じ人間がなぜこんなことをしてしまうのか、こんなことをしてしまうに至るまでの途中に何があったのか。
2『消された一家』、『闇金ウシジマくん』で事件をモデルにしていましたが、シリーズ中最悪のトラウマエピソード(26~28巻「洗脳くん」)として有名に。5『愛犬家』、おかしな紹介になりますが名文かつ名著です。今は入手しづらく高値がついていますが、機会があればご一読を。15『異常快楽殺人』、衝撃度においてはこのリストのなかでも1、2を争います。著者の平山さん自身、書いてて頭がおかしくなりそうだった、と解説で語っておられます。
東京オリンピックを間近に控えた1963年、東京下町で起きた「吉展ちゃん誘拐事件」の真相に追るノンフィクション。犯人を取り逃がした警察の失態と捜査の混乱、悲惨な結末を、優れた取材力をもとに描き出すが、著者の視線は犯人・小原保に注がれる。東北の貧しい村の五男として生まれた男が、上京し時計屋で職を得ながら、なぜ誘拐・殺人犯となったのか。丹念な取材と分析によって犯人の不幸な半生と時代背景を明らかにしていく。 参考: |
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七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた―。明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。 参考: |
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2015年2月20日未明、凍てつく風が吹きつける多摩川の河川敷で、上村遼太君は全裸で息も絶え絶えに草地を這っていた。カッターで全身を43カ所も刺されて―。後に殺人などの容疑で逮捕された3人の未成年者が法廷で明かした理不尽な殺意。彼らに反省の色はない。そして互いに責任を擦り付け、攻撃し合う被害者の両親…。無辜の少年はなぜ命を奪われたのか。緻密な取材を基に深層を炙り出す。 参考: |
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4.小野一光『新版 家族喰い』文春文庫 まさに未曾有の怪事件。発覚当時63歳の女を中心に、結婚や養子縁組によって複数の家庭に張り巡らされた、虐待し搾取する者とされる者が交錯する人間関係。その中で確認された死者11人。この複雑きわまる尼崎事件の全容を執念の取材で描いた、事件ノンフィクションの金字塔。文庫化にあたり70ページ大幅増補。 参考: |
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5.志麻永幸『愛犬家連続殺人』角川文庫 九八年八月二十八日、俺は満期三年の実刑を終え、栃木の黒羽刑務所を出所した。逮捕された時の罪名は「死体損壊・遺棄」。そう、俺があの『埼玉愛犬家連続殺人事件』で主犯・関根らとともに人肉をサイコロのようにカットし、人骨を粉になるまで焼き尽くした山崎だ。俺は知っている。まだ世間には知らされていない関根の凶暴な素顔を。その恐るべきやり口を。そして、未だ解決していない数数の行方不明事件の真相を…。たぐいまれなる凶悪殺人事件でありながら、阪神大震災・オウム事件の陰で注目度の低かった『埼玉愛犬家連続殺人事件』。その共犯者が自ら綴る驚愕の書。 参考: |
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6.一橋文哉『世田谷一家殺人事件』角川文庫 2000年12月31日午前11時半前、東京都世田谷区上祖師谷3丁目で発覚した一家4人惨殺事件。現場には凶器の柳刃包丁をはじめ、指紋や足跡などたくさんの証拠が残されていながら、発生から17年経った現在でも犯人は捕まっておらず、捜査は未だに続行されている。この事件をライフワークとして追い続ける著者が、海外まで追ってついに遭遇した犯人の姿とは?犯人は今どこで何をしているのか、驚きの真相が明かされる。 参考: |
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ひとりの週刊誌記者が、殺人犯を捜し当て、警察の腐敗を暴いた…。埼玉県の桶川駅前で白昼起こった女子大生猪野詩織さん殺害事件。彼女の悲痛な「遺言」は、迷宮入りが囁かれる中、警察とマスコミにより歪められるかに見えた。だがその遺言を信じ、執念の取材を続けた記者が辿り着いた意外な事件の深層、警察の闇とは。「記者の教科書」と絶賛された、事件ノンフィクションの金字塔!日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞受賞作。 参考: |
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5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか?なぜ「足利事件」だけが“解決済み”なのか?執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す―。新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。 参考: |
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4人を射殺した少年は獄中で、本を貪り読み、字を学びながら、生れて初めてノートを綴った。―自らを徹底的に問いつめつつ、世界と自己へ目を開いていく、かつてない魂の軌跡として。従来の版に未収録分をすべて収録。 参考: |
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捜査は、ホシとデカの命がけのぶつかり合いだ―警視庁捜査一課勤務30年の名刑事・平塚八兵衛が、昭和史に残る大事件の捜査現場を語る。地を這うような徹底捜査で誘拐犯・小原保を自供へ追い込んだ吉展ちゃん事件から、帝銀事件、下山事件、そして未解決に終った三億円事件まで、貴重な証言が満載。事件捜査の最前線に立ちつづけた男の言葉からは、熱すぎるほどの刑事魂が迸る。 参考: |
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世間を震撼させた凶悪事件の殺人者たち―。臨床心理士として刑事事件の心理鑑定を数多く手掛けてきた著者が、犯人たちの「心の闇」に肉薄する。勾留施設を訪ねて面会を重ね、幾度も書簡をやりとりするうちに、これまで決して明かされなかった閉ざされし幼少期の記憶や凄絶な家庭環境が浮かび上がる。彼らが語った人格形成の過程をたどることで、事件の真相が初めて解き明かされる。 |
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南米コロンビアで起こったある誘拐事件。やがて、事件は政府・マスコミの要人を狙って麻薬密輸組織が起こした、十件もの誘拐事件の一端であったことが判明する。連続誘拐事件を繋ぐ一本の糸とは?その背後で繰り広げられる、麻薬密輸組織と政府当局の凄惨な争いの結末は?ノーベル賞作家の著者が、綿密な取材をもとに現代コロンビア社会の暗部をえぐったノンフィクション。 参考: |
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13.ゲ-リ-・L・スチュワ-ト、ス-ザン・ムスタファ『殺人鬼ゾディアック』亜紀書房 生き別れた実父を探そうとした男が心ならずも掘り当てた殺人鬼ゾディアックの正体。全米を恐怖に陥れ、警察を愚弄した連続殺人犯は、幼少時代を日本で過ごした、非常に頭のいい、うぬぼれ屋の、この上なく残忍な“負け犬”だった!!あらゆる捜査をかいくぐり、迷宮入りした殺人事件の“真相”がついに明らかに!? 参考: |
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14.A・M・ローゼンタール『38人の沈黙する目撃者』青土社 深夜のニューヨークで若い女性がむごたらしく殺害された。38人もの近隣住民がそれを目の当たりにしたにもかかわらず、救おうとするどころか、誰も通報さえしなかった。後に心理学の「傍観者効果」説まで生んだ特異な事件の真相とは?ピュリッツァー賞記者がミステリーに迫るノンフィクションの名作、待望の邦訳。 参考: |
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コーヒースタンドでアルバイトをしていた高校生サマンサ・コーニグが姿を消したのは二〇一二年二月二日のことだった。警察は最初、彼女が家出したものと考えた。だが、防犯ビデオの映像には、背の高い男が彼女を店内から誘拐する姿がはっきりと映っていた……。全米各地に隠された謎の“殺人キット"、犯された数々の誘拐・強盗・暴行殺人、そして独房に残された12個の頭蓋骨の絵。2012年に逮捕され、唐突に獄中死した今世紀最大のシリアルキラーの実態を明らかにする、戦慄のノンフィクション! 参考: |
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16.ダイアン・レイク『マンソン・ファミリー』ハーパーBOOKS 1967年、14歳のダイアンはチャールズ・マンソン率いる“ファミリー”の一員になった。セックスとドラッグが蔓延するLAでヒッピーになった両親に捨てられ、ようやく見つけた居場所だった。だがチャールズの微笑みは暴力的な支配に変わり、ファミリーは無差別殺人を犯すカルト集団へと変貌していく。一夜に女優シャロン・テートら5人を惨殺するまで―。事件から50年、初めて明かされる衝撃の内幕! 参考: |
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アメリカでは、モルモン教徒は長老派教会の信者より多い。世界では、ユダヤ教徒より多い―「神の命令」に従い弟の妻とその幼い娘を殺した熱心な信徒、ラファティ兄弟。なぜ、熱心な宗教者たちが殺人者となり得たのか?理性と信仰、原理主義と人間の倫理の問題など宗教の深い闇に迫った渾身のノンフィクション。 参考: |
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昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚…。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。 |
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19.クリストファー・ベリー=ディー『サイコパスの言葉』エクスナレッジ 本書では、かつてないほど冷酷無情な犯人たちがおかした背筋も凍るような悪事を研究し、普通の人々にはなじみのないその精神構造をあばいていく。これを読めば、凶悪殺人に対する読者の考えは一変するだろう。そして恐怖というものが、私たちが考えるよりずっと身近な存在であることも明らかになる。 |